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「自転車はいつまで乗っていい?」「先生に何を伝えればいい?」PD Cafeで見えてきた、パーキンソン病の“生活の困りごと”

「自転車はいつまで乗っていい?」「先生に何を伝えればいい?」PD Cafeで見えてきた、パーキンソン病の“生活の困りごと”

こんにちは。
PDit(ピディット)の小川順也です。
今日はPD Cafeを開催しました。

PD Cafeでは、運動をするだけではなく、パーキンソン病の当事者やご家族、専門職などが集まって、
「実際の生活で何に困っているのか?」
をみんなで話す時間を大切にしています。

今回もグループワークを行いました。
そこで出てきたのは、
「最近、歩ける距離が短くなってきた」
「階段の下りが怖い」
「転んだあと、一人で起き上がれない」
「自転車はいつまで乗っていいんだろう?」
「よだれが気になって人と話しにくい」
「DBSを勧められたけど、本当に受けた方がいい?」
「先生に何を伝えればいいのか分からない」
など、本当にさまざまな声でした。

話を聞きながら、改めて感じたことがあります。

パーキンソン病の方が困っていることは、診察室だけでは見えない。
そして、
パーキンソン病の支援は「運動」だけでは足りない。

ということです。

① 「歩けるか」だけではない。移動にはたくさんの困りごとがある

今回、特に多かったのが移動についての悩みでした。
歩ける距離が短くなった。
階段、特に下りが怖い。
段差でつまずく。
外で転んだことがある。
そして興味深かったのが、
「転ぶこと」だけではなく、「転んだ後に一人で起き上がれない」
という悩みです。

私たちはリハビリというと、
「転ばないようにしましょう」
と考えがちです。

もちろん転倒予防は重要です。

でも実際の生活を考えると、
「もし転んだら、どうする?」
まで準備しておく必要があります。

どうやって安全に起き上がるのか。

一人で起きられなかったら誰に連絡するのか。

外出中ならどうするのか。
緊急通報サービスを利用する方法もあります。
こうしたことも、立派なリハビリだと思います。

今後PD Cafeでも、
「転んだ時どうする?起き上がり方教室」
のような企画をやってみたいと思いました。

② 「自転車はいつまで乗っていいですか?」

これも、とてもリアルな質問でした。
「歩くより自転車の方が楽なんです」

という方がいる一方、

「バランスが不安になって、自転車をやめました」
という方もいました。

車についても同じです。
本人はまだ大丈夫だと思っている。
でも家族は心配している。

こうした問題には、
「パーキンソン病だから自転車は禁止」
という単純な答えはありません。

症状、バランス、認知機能、生活環境、地域の交通事情などによって状況は変わります。
だからこそ、
「乗る・乗らない」
だけではなく、
その人にとって安全な移動手段を一緒に考えることが必要なのだと思います。

③ 「よだれが気になって、人と会いたくない」

今回、かなり具体的に話されたのが「よだれ」の問題でした。
話している途中で垂れてしまう。
寝ている間に枕が濡れる。
前かがみになると出やすい。

そして、
人と話すことや外出そのものがおっくうになる。
これは非常に大きな問題だと思います。
症状だけを見ると「よだれ」です。
でも生活を見ると、

よだれ

人前で気になる

会話を避ける

外出しなくなる

人とのつながりが減る

というところまで影響する可能性があります。

一方で、同じグループには「口が乾いて困る」という方もいました。

同じパーキンソン病でも、困っていることは全然違う。

これも、みんなで話すからこそ分かることです。

④ DBS、「手術をすれば全部良くなる」と思っていた

DBS(脳深部刺激療法)についても話題になりました。

「手術を受けた方がいいの?」
「本当に良くなる?」
「家族は反対している」
「手術した後の生活は?」
さまざまな不安があります。

特に印象的だったのが、
「手術をすれば全部良くなると思っていた」
という言葉でした。

治療を選択する時には、
「DBSをやるか、やらないか」
だけではなく、
「自分は何を改善したくて、この治療を選ぶのか?」
を整理することがとても大切です。

そして今回、参加者の話を聞いていて強く感じたのが、
「実際にDBSを受けた人の話を聞いてみたい」
というニーズです。

医師から正しい医学的説明を受けることはもちろん重要です。

そのうえで、
実際に経験した人が、
「手術前は何が不安だった?」
「術後はどうだった?」
「生活はどう変わった?」
と話してくれる。

そんな機会があると、治療を考えるうえで一つの材料になると思います。
PDフェスなどでも実現できたら面白いですね。

⑤ 「先生に何を伝えたらいいのか分からない」

これは以前から私たちが非常に重要だと思っているテーマです。

今回も、
「診察がすぐ終わってしまう」
「聞きたいことを聞けない」
「何を話せばいいか分からない」
という声が出ました。

そして、もう一つ。
家族から見ると困っていることがたくさんあるのに、
診察室で先生から、
「どうですか?」
と聞かれると、
「大丈夫です」
と言ってしまう。

これ、本当にあります。

本人に悪気があるわけではありません。

でも、それでは先生も生活上の困りごとを知ることができません。
そこで役立つのが、

• いつから?
• どんな場面で?
• 何ができなくなった?
• どのくらい困っている?
• 薬を飲む時間と関係している?
• 家族から見ると何が変わった?
といった情報を、受診前に整理しておくことです。
「診察で何を伝える?」
これもPD Cafeでミニ講座としてやりたいテーマになりました。

⑥ 本人だけでなく「家族」も支えたい

今回のグループワークでは、家族の負担も見えてきました。

「一人で外出させるのが心配」
「転んだらどうしよう」
「本人が先生に症状を伝えないので、自分が説明している」
「DBSを受けるかどうかで意見が違う」

そして、支える家族自身も疲れています。

ここから見えてくるのは、
パーキンソン病の支援は、本人だけを見ていてはいけない。
ということです。
どこまで手伝うのか。
どこまで本人に任せるのか。
困った時に誰に相談するのか。

そして、

家族自身が休むこと。
これらも含めて考える必要があります。

将来的にはPD Cafeで、
「家族だけのグループワーク」
もやってみたいと思っています。
「同じ病気なのに、こんなに違うんだ」

今回、よだれだけでなく、
口の乾燥、便秘、発汗、体温調節など、さまざまな非運動症状についても話が出ました。

そして、
「同じパーキンソン病なのに、症状が全然違うね」
ということが自然と共有されていきました。

私は、これもPD Cafeの大切な価値だと思っています。
他の人の話を聞いて、
「自分だけじゃなかった」
と思える。

でも同時に、
「パーキンソン病だから、みんな同じではない」
ということも分かる。

この両方が大切なんです。

医学書には載りにくい「生活の困りごと」
今日のグループワークで出てきた言葉を改めて並べてみます。
「自転車はいつまで乗っていい?」
「転んだあとに起きられない」
「よだれが気になって人に会いたくない」
「DBSって実際どうなの?」
「先生に何を言えばいいのか分からない」
どれも、ものすごく大切な問題です。

でも、こうした悩みは医学書の「パーキンソン病の症状」というページだけでは、なかなか見えてきません。
生活しているからこそ出てくる困りごとです。

だからこそ、
当事者同士が話す。
家族が話す。
専門職が聞く。
地域の支援者が一緒に考える。
そこに大きな意味があると思います。

PD Cafeは「運動教室」ではない

今日のグループワークを通して、改めてPD Cafeが目指すものが見えてきました。

それは、
運動 × 生活相談 × 医療情報 × 当事者・家族の交流
です。

運動する。
身体を知る。
病気について学ぶ。
生活の困りごとを話す。
専門職に相談する。
同じ病気の人とつながる。
家族同士もつながる。
そして必要な時には、地域や医療につながっていく。

私たちがPD Cafeで大切にしている、
動いて、知って、学んで、繋がる。」
という言葉が、今日のグループワークにそのまま表れていた気がします。

皆さんの「困った」が、次のPD Cafeをつくる
今回出てきた声から、すでにやってみたい企画がたくさん生まれました。

 

1. 転んだ時どうする?寝返り・起き上がり教室.
2. 階段・外出・自転車・車など「安全な移動」を考える.
3. よだれ・便秘・汗など「非運動症状」を話す会.
4. 「診察で何を伝える?」ミニ講座.
5. DBS経験者に聞く「実際どうだった?」.
6. 家族だけのグループワーク.

専門家側が、
「今日はこれを教えます」
と決めるだけではなく、
参加している皆さんから出てきた、
「これに困っている」
から、次の活動をつくっていく。

それがPD Cafeらしい形なのかもしれません。
PD Cafeを、地域の当たり前に
私たちが目指しているのは、一回楽しかったイベントをつくることではありません。
パーキンソン病と診断された早い段階から、
「困ったことがあったら、PD Cafeに行ってみよう」
と思える場所を地域につくることです。
症状が進んでから支援につながるのではなく、
まだ元気な時から、

運動する。
学ぶ。
相談する。
人とつながる。
そして、困った時に頼れる人と顔見知りになっておく。

そんな仕組みをつくりたいと思っています。
今日出てきた一つひとつの声を大切にしながら、これからのPD Cafeを皆さんと一緒に育てていきます。
動いて、知って、学んで、繋がる。
PD Cafeを、地域の当たり前に。
また次回、皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

PDit
小川順也

 

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