parkinson’s disease

主に、体の動きに症状が現れる病

パーキンソン病とは、脳が異常をきたし、体を動かすために必要な信号を送る物質であるドーパミンが不足してしまうことで様々な運動症状が出る病気です。

日本では約28万9000人(2022年厚労省による患者調査より)の患者さんがいると言われています。世界では700万人、アメリカではなんと100万人程いると言われています。
又、2040年には、世界で約1400万人(現在の2倍の数)まで増えていくと研究報告されています。

代表的な運動症状4つ

1. 無動
2. 安静時振戦
3. 固縮
4. 姿勢反射障害

1.無動

動作、日常の動きの一つひとつが非常にゆっくり、小さくなります。
「歩くのが遅くなったね」「歩幅が狭くなったね」「腕が振れていないね」など、他人に言われて気づくことも多いです。
動きにくくなることから、活動する範囲が狭まってしまい、そのために筋力低下や体力低下を感じることもあります。

2.安静時振戦

座っていると手足が震えたり、テレビを見ている時や体の力を抜いた時など、安静時に手や足に細やかなふるえが起こります。
発症初期には体の片側のみに現れる事が多いと言われています。動いている時にはふるえが止まることが多く、安静時振戦とも呼ばれています。

3.固縮

関節が硬くなってしまったり、腕や足、体幹の筋肉がこわばってしまう事で、自分でスムーズに体を動かす事が難しくなります。
筋肉の強張りを自らの力ではうまく抜くことが出来ません。初期の段階では自覚症状あまりなく、診察によって見つかる症状です。お医者さんが患者さんの腕や足を動かそうとすると、関節がカクカクするような抵抗が見られる状態です。

4.姿勢反射障害

転びやすくなってしまったり、体のバランスが悪くなり、体が傾くと元の姿勢に戻りにくくなることがあります。
たとえば、日常生活の中で、引き出しや冷蔵庫の扉を開いた時にそのまま倒れてしまうことなどがあります。こちらの症状は、ある程度病気が進行して来た時に出やすい症状です。

症状の進行と重症度基準

パーキンソン病の運動症状の多くは左右どちらかの片側一方から現れます。
座っていると手足が震えたりする症状は60%程度の方が最初に出る症状です。その症状も左右のどちらかの手または足から出ます。

進行はN型に進むとも言われています。右手に出た場合は右足→左手→左足の順番です。
今まで多くのパーキンソン病患者さんを見てきた中で、その進行具合は患者さんみんなに当てはまるようなパターン的なものではなく、一人ひとり個性があり、人それぞれといった印象があります。

これらの進行度合いを示したもので、最も広く知られているのは「ホーン・ヤールの重症度分類」です。
運動機能の程度に応じて1〜5度までの5段階に分類したものです。症状の現れ方で重症度が分けられます。

1度:片側に症状
体の片側の手足に症状が見られる。日常生活への影響はごく軽い段階。
2度:両側に症状
体の両側の手足に症状が見られる。多少の不便はあっても、日常生活は通常通り行える。
3度:活動がやや制限
歩行障害や姿勢反射障害などが見られる。活動はやや制限されるが、自立した生活が可能。
4度:介助が必要
体の両側の手足に強い症状が見られ、自力での生活が困難。介助を要することが多い。
5度:車イスなどが必要
立つことが出来なくなるため。車椅子での生活や寝たきりになる。全面的な介助が必要。

診察時に先生から言われる重症度とは、こちらを基準にして考えられています。
この重症度分類によっては国の保障制度が違うので、確認しておくことをおすすめします。

運動症状以外の症状

パーキンソン病は運動症状だけではなく、非運動症状といって自律神経の症状が出る場合があります。研究によれば、運動症状が出る約20年前から非運動症状があるのではないかと言われています。

非運動症状の紹介

■ 自律神経症状
便秘や頻尿、起立性低血圧(立ちくらみ)・発汗、むくみ、冷え
■ 認知障害
いくつかの手順を踏む行動が計画できなくなる遂行機能障害
■ 嗅覚障害
においがしない
■ 睡眠障害
不眠や日中の眠気
■ 精神症状
うつ・不安などの症状、気力低下、幻覚・幻聴
■ 疲労や痛み、体重減少
疲れやすい、筋肉の痛み、体重の減少など

全ての方に症状が出るわけではありませんが、このような症状があることを理解しておくことで医師への相談等に役立ててください。

治療方法について

現在日本で主に行われている治療方法は
1. 薬物療法
2. 運動療法
3. 手術療法
の大きく分けて3つになります。

薬物療法について

パーキンソン病は、ドーパミンの不足により様々な症状が出て来ますので、それを補う薬が処方される場合が多いです。
また、ドーパミンを補うための薬以外にも様々な薬があり、症状に合わせて主治医の先生と話し合いながら薬を選んでいくことがとても重要です。ドーパミンを補う薬が誕生する前までは、「パーキンソン病は5年で寝たきり」とも言われていましたが、現在は様々な新薬が開発されており、なおかつ運動や手術療法などの治療の幅も増えたことにより、「天寿を全うできる」と言われるようになりました。

運動療法について

国立精神・神経医療研究センター病院の元院長である故村田美穂先生は、「薬物療法と運動療法は自転車の両輪で、どちらも重要」とおっしゃっていました。その言葉通り、薬物療法で体が動きやすくなったからといって運動をしなくてもいいという事ではなく、しっかりと運動をすることにより、日常生活に支障がなく動き続けられる体作りをしていくことが必要です。

運動療法には、筋トレ、ストレッチ、バランストレーニング、有酸素運動など、様々な種類の運動があります。パーキンソン病は100人いたら100通りの症状があると言われるとおり、人それぞれの体の状況にあった運動を常に選択して継続することがとても大切です。

PDitでは運動継続をサポートします!
そして、どんな運動をしたら良いか分からない!という方には適切な運動をお伝えします!

PDitではパーキンソン病に有効な運動療法を順天堂大学様と共同研究しており、より効果的な運動療法プログラム(PDitプログラム)を開発、及び、患者様に提供しております。

又、PDitオンラインではeラーニングシステムを活用し、患者様の運動継続をサポートしております。

手術療法について

日本で主に行われている手術療法は4つです。
1. 深部脳刺激術(DBS)
2. 定位的脳手術
3. MRガイド下収束超音波治療
4. レボドパ・カルビドパ配合経腸用液

これらは全て医療保険で行われている手術です。
それぞれの手術療法を行ったからといって、パーキンソン病の全ての症状が緩和されるわけではありません。
それぞれの手術の目的と効果を主治医の先生とよく話し合って決めることがとても重要です。

進行を遅らせるには「週6日、30分間の運動」
孤独感からの脱却を目指して運動をスタートしましょう

2019年に京都で行われた、世界パーキンソン病コングレスのセッションの一つで、パーキンソン病の進行を遅らせた最もな要因は「週6日30分の運動」とされていました。また、進行を促進してしまったもっともな要因は「孤独」であったと報告されました。

実際に、パーキンソン病と診断されて落ち込んでしまい、自宅に引きこもってしまうケースをたくさん見てきました。行動量が減ってしまうと、筋力を低下させてしまうだけではなく、外部とのつながりが絶たれてしまうことにも繋がります。
「病気である自分が他社の目にどう映るのか…」を気にすることなく、堂々と生活をし続けられる身体を目指し、診断早期から適切な運動療法をスタートさせることが非常に重要です。

いつまでも、あなたがあなたらしくいられるように。
PDitがあなたの力になります。

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