通常の理学療法は効果ない?
2022.09.20 更新
本日ご紹介する研究論文はこちら!
パーキンソン病の補助療法としての筋力トレーニング、
有酸素トレーニング、および追加の理学療法の比較
:パイロット研究
Comparison of strength training, aerobic training, and additional physical therapy as supplementary treatments for Parkinson’s disease: pilot study
元論文
↓↓
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4293290/#b5-cia-10-183
今回の研究の実施期間は
2010年9月〜2012年9月の2年間で行われました。
対象は45~80歳のパーキンソン病と診断された方、
ヤール重症度分類は1~3の方でした。
評価は
UPDRS、機能的能力(Senior Fitness Test)、EEG、10mwt、BBS(バランステスト)です。
介入頻度と期間は週2回で12週間でした。
どういったグループで比べたかというと
筋力トレーニング群(ST)N=8:
最大1回の繰り返しの80%大きな筋肉、器具を使用、
最大8~12回繰り返す、セット間1分30秒の休息
有酸素トレーニング群(AT)N=5:
最大心拍数の70%、
30分間トレッドミル、5分間ウォーミング、5分間リカバリー、
VO2maxの60%、最大心拍数70%、12週間強度同じ
理学療法群N=9:
上肢、下肢の体操、ストレッチ、
歩行訓練で30~40分提案。過負荷はなし
の3つのグループで比較しています。
結果をグラフにまとめました。
※論文より執筆者がグラフ作成
UPDRS-partⅢは運動項目なんですが、
筋力トレーニングと有酸素トレーニングは改善が見られましたが、
理学療法群では改善が少しです。
次に10メートルどの程度の速さで歩いたかというテストです。
※論文より執筆者がグラフ作成
3群共改善が見られていますが、
筋力トレーニングと有酸素トレーニングの方が改善具合が高いです。
最後にBBS(バランステスト)です。
※論文より執筆者がグラフ作成
こちらも筋力トレーニングと有酸素トレーニングは改善が見られているのに対して、
理学療法群は変わらずでした。
バランステストの改善度合いは1~2スコアくらいなので
かなり変わったかと言われると、う〜ん…というところです。
ということで
UPDRSと10mwtとBBSを比較してみると、
筋力トレーニングと有酸素トレーニングの両群の改善具合が大きかったのに対して、
従来の理学療法群はそこまで変化はありませんでした。
理学療法群でやられたことは、
・上肢/下肢の体操
・ストレッチ
・歩行訓練
で過負荷なトレーニングはなしという条件のもとでした。
なので、アプローチの手段を変えて行けば、
従来の理学療法でも十分効果は出せると考えます。
誤解がないように、理学療法が効果ないわけではないので安心してください。
この論文が言いたいのは、
負荷量を気にしようよ!ということだと、私は解釈しています。
しかし、この論文で行われている理学療法は、
結構日本でやられているパーキンソン病に対する理学療法にも
似ているんじゃないかな?と思っています。
もちろん、しっかりと負荷量を考えて行っている方々も多いですが、
お話を聞いていると、
まだまだ負荷量を低く見積もって実施している施設が多いのではないかな?と感じています。
色々な研究論文を読んでいると、最近では
「中等度以上の負荷の有酸素運動や筋力トレーニングを加えることが効果的」
という印象です。
私たちの提供しているのパーソナルトレーニングでは
一人一人のお身体の状態をしっかりと検査/評価して
運動メニューや負荷量を考えています。
負荷量の調整は、最初から一気に高くなってしまうと、逆に痛みが出てしまったり、
代償動作といって間違った運動になっていたりということがあるので、
段階的な負荷量の調整を行っています。
今回の研究論文で改めて運動の負荷量を検討することの意義を感じました。
パーキンソン病の方へのアプローチで悩んでいる方の参考になればと思います。
と同時に、
どんな運動をしたらいいのかな?と悩んでいる
パーキンソン病の方の参考にもなればいいなと思います♫
研究論文って難しい内容ですが、
紐解いていくととても有益な情報が載っていますので
引き続きブログを通してみなさんに発信して行きます♫
「根治療法が確立されるまで動ける体つくり」を目指して
小川順也