パーキンソン病では「無意識の動き」が難しくなる
2026.05.27 更新

パーキンソン病では「無意識の動き」が難しくなる
反復が大切な理由とは?
パーキンソン病の方と関わっていると、よく感じることがあります。
それは、今まで無意識でできていた動きが、少しずつ難しくなっていくということです。
今日はこの「自動化」という視点から、なぜ反復練習が大切なのかをお話ししたいと思います。
歩くことや立ち座りは、本来“考えなくてもできる動き”
私たちは普段、
-
歩く
-
立ち上がる
-
座る
-
寝返りをする
-
手を振る
といった動きを、いちいち深く考えなくても自然に行っています。
これは、こうした動きが自動化されているからです。
つまり、頭で細かく考えなくても、体がある程度自動で動いてくれる状態です。
たとえば歩く時に、
「右足を出して、次に左足を出して、腕を振って…」
と毎回考えている人はほとんどいないと思います。
日常の基本動作は、それくらい自然に行われています。

パーキンソン病では、この“自動化”が難しくなる
パーキンソン病では、ドーパミンの低下により、この自動で動ける仕組みがうまく働きにくくなります。
その結果、
-
普通に歩いていたはずなのに、意識しないと歩きにくい
-
大きく歩こうと思っても、気をつけないと小さくなる
-
立ち上がりや寝返りがぎこちない
-
頭ではわかっているのに、体がついてこない
といったことが起こりやすくなります。
つまり、今まで「無意識でできていたこと」が、
意識しないとできなくなるのです。

「考えないと動けない」状態は、頭にも負担がかかる
自動化が崩れると、動くたびに注意や意識が必要になります。
ここでイメージしてほしいのが、頭の中のバケツです。
頭の中には、注意力や集中力を入れるバケツがあるとします。
健康な時は、歩くことや立ち座りは自動化されているので、このバケツの水はあまり使いません。
でもパーキンソン病では、歩くだけでも注意が必要になるため、最初からバケツに水がかなり入っているような状態になります。
そこにさらに、
-
人と話しながら歩く
-
急いで移動する
-
周囲を気にする
-
次のことを考える
といった負荷が加わると、バケツがすぐいっぱいになってしまいます。
すると、
-
動きが止まりやすい
-
ちぐはぐになる
-
二重課題が難しい
-
余計にぎこちなくなる
ということが起こりやすくなります。

だからこそ「反復」が大事
では、どうすればよいのでしょうか。
ここで大事になるのが、反復です。
一度自動化が難しくなった動きも、
意識して何度も繰り返すことで、また少しずつ“自動に近い状態”へ戻していくことができます。
流れとしては、
-
以前は無意識でできていた
-
今は意識しないとできない
-
その動きを意識して繰り返す
-
少しずつまた自然にできるようになる
というイメージです。
PDitで「感覚と反復が大事」とお伝えしているのは、まさにこのためです。

実際に、繰り返した方は変わっていく
スタジオでも、歩き方や立ち座りなどを継続的に練習している方は、数か月後に変化が見られることが多いです。
最初は、
-
大きく歩こうとするとぎこちない
-
意識しないとすぐ小さくなる
-
動きにメリハリが出ない
という状態でも、
繰り返していくうちに、
-
以前より自然に大きく歩ける
-
そこまで強く意識しなくても動ける
-
ぎこちなさが減る
という変化が出てきます。
もちろん、完全に元のような“無意識の動き”に戻すのは簡単ではありません。
でも、反復によって近づけていくことはできると、日々感じています。

いろいろやるより、絞って反復する方がいい
ここでひとつ大事なポイントがあります。
それは、
運動はたくさんの種類をやるより、絞って繰り返す方がいい
ということです。
「今日はこの運動、明日は別の運動」と次々変えるより、
-
動きの種類を絞る
-
同じ動きをしっかり繰り返す
-
ある程度続ける
方が、自動化にはつながりやすいです。
PDitでも、運動をやみくもに増やすのではなく、
「今必要なものを絞って反復する」ことを大切にしています。

目安は1〜2週間ではなく、3〜4か月
運動を始めると、どうしても「早く効果を感じたい」と思うものです。
でも、自動化を取り戻すには、ある程度時間がかかります。
体感としては、3〜4か月くらいは根気よく続けることが大切です。
1か月で大きく変わるというよりは、
-
2〜3か月目くらいに「あれ、前よりやりやすいかも」
-
少し自然にできる瞬間が増える
-
気づけば前より楽になっている
という変化が多い印象です。
だからこそ、
「すぐ変わらないから意味がない」ではなく、
少しずつ自動化を取り戻していく作業なんだ
と思って続けていただけると、とても良いと思います。

まとめ
パーキンソン病では、
無意識でできていたことが難しくなり、意識しないと動けなくなる
という変化が起こります。
そのため、
-
意識して動く
-
必要な動きを絞る
-
反復する
-
3〜4か月単位で続ける
ことが、とても大切になります。
今は意識しないとできない動きでも、
繰り返すことで、また少しずつ自然な動きに近づけていくことができます。
派手なことではありませんが、
この「反復して、自動化に近づける」という考え方は、
パーキンソン病の運動にとってとても大切なポイントです。
焦らず、でもあきらめず、
日々の積み重ねを大事にしていきましょう。

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~本日の投稿の引用文献~
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- Tang, X., Huang, Z., Zhu, G., Liang, H., Sun, H., Zhang, Y., … & Chen, Y. H. (2024). Matching supplementary motor area-primary motor cortex paired transcranial magnetic stimulation improves motor dysfunction in Parkinson’s disease: a single-center, double-blind randomized controlled clinical trial protocol. Front. Aging Neurosci., 16:1422535.
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