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パーキンソン病では「無意識の動き」が難しくなる

パーキンソン病では「無意識の動き」が難しくなる

反復が大切な理由とは?

パーキンソン病の方と関わっていると、よく感じることがあります。
それは、今まで無意識でできていた動きが、少しずつ難しくなっていくということです。

今日はこの「自動化」という視点から、なぜ反復練習が大切なのかをお話ししたいと思います。

歩くことや立ち座りは、本来“考えなくてもできる動き”

私たちは普段、

  • 歩く

  • 立ち上がる

  • 座る

  • 寝返りをする

  • 手を振る

といった動きを、いちいち深く考えなくても自然に行っています。

これは、こうした動きが自動化されているからです。
つまり、頭で細かく考えなくても、体がある程度自動で動いてくれる状態です。

たとえば歩く時に、

「右足を出して、次に左足を出して、腕を振って…」

と毎回考えている人はほとんどいないと思います。
日常の基本動作は、それくらい自然に行われています。

パーキンソン病では、この“自動化”が難しくなる

パーキンソン病では、ドーパミンの低下により、この自動で動ける仕組みがうまく働きにくくなります。

その結果、

  • 普通に歩いていたはずなのに、意識しないと歩きにくい

  • 大きく歩こうと思っても、気をつけないと小さくなる

  • 立ち上がりや寝返りがぎこちない

  • 頭ではわかっているのに、体がついてこない

といったことが起こりやすくなります。

つまり、今まで「無意識でできていたこと」が、
意識しないとできなくなるのです。

「考えないと動けない」状態は、頭にも負担がかかる

自動化が崩れると、動くたびに注意や意識が必要になります。

ここでイメージしてほしいのが、頭の中のバケツです。

頭の中には、注意力や集中力を入れるバケツがあるとします。
健康な時は、歩くことや立ち座りは自動化されているので、このバケツの水はあまり使いません。

でもパーキンソン病では、歩くだけでも注意が必要になるため、最初からバケツに水がかなり入っているような状態になります。

そこにさらに、

  • 人と話しながら歩く

  • 急いで移動する

  • 周囲を気にする

  • 次のことを考える

といった負荷が加わると、バケツがすぐいっぱいになってしまいます。

すると、

  • 動きが止まりやすい

  • ちぐはぐになる

  • 二重課題が難しい

  • 余計にぎこちなくなる

ということが起こりやすくなります。

だからこそ「反復」が大事

では、どうすればよいのでしょうか。

ここで大事になるのが、反復です。

一度自動化が難しくなった動きも、
意識して何度も繰り返すことで、また少しずつ“自動に近い状態”へ戻していくことができます。

流れとしては、

  1. 以前は無意識でできていた

  2. 今は意識しないとできない

  3. その動きを意識して繰り返す

  4. 少しずつまた自然にできるようになる

というイメージです。

PDitで「感覚と反復が大事」とお伝えしているのは、まさにこのためです。

実際に、繰り返した方は変わっていく

スタジオでも、歩き方や立ち座りなどを継続的に練習している方は、数か月後に変化が見られることが多いです。

最初は、

  • 大きく歩こうとするとぎこちない

  • 意識しないとすぐ小さくなる

  • 動きにメリハリが出ない

という状態でも、

繰り返していくうちに、

  • 以前より自然に大きく歩ける

  • そこまで強く意識しなくても動ける

  • ぎこちなさが減る

という変化が出てきます。

もちろん、完全に元のような“無意識の動き”に戻すのは簡単ではありません。
でも、反復によって近づけていくことはできると、日々感じています。

いろいろやるより、絞って反復する方がいい

ここでひとつ大事なポイントがあります。

それは、
運動はたくさんの種類をやるより、絞って繰り返す方がいい
ということです。

「今日はこの運動、明日は別の運動」と次々変えるより、

  • 動きの種類を絞る

  • 同じ動きをしっかり繰り返す

  • ある程度続ける

方が、自動化にはつながりやすいです。

PDitでも、運動をやみくもに増やすのではなく、
「今必要なものを絞って反復する」ことを大切にしています。

目安は1〜2週間ではなく、3〜4か月

運動を始めると、どうしても「早く効果を感じたい」と思うものです。
でも、自動化を取り戻すには、ある程度時間がかかります。

体感としては、3〜4か月くらいは根気よく続けることが大切です。

1か月で大きく変わるというよりは、

  • 2〜3か月目くらいに「あれ、前よりやりやすいかも」

  • 少し自然にできる瞬間が増える

  • 気づけば前より楽になっている

という変化が多い印象です。

だからこそ、
「すぐ変わらないから意味がない」ではなく、
少しずつ自動化を取り戻していく作業なんだ
と思って続けていただけると、とても良いと思います。

まとめ

パーキンソン病では、
無意識でできていたことが難しくなり、意識しないと動けなくなる
という変化が起こります。

そのため、

  • 意識して動く

  • 必要な動きを絞る

  • 反復する

  • 3〜4か月単位で続ける

ことが、とても大切になります。

今は意識しないとできない動きでも、
繰り返すことで、また少しずつ自然な動きに近づけていくことができます。

派手なことではありませんが、
この「反復して、自動化に近づける」という考え方は、
パーキンソン病の運動にとってとても大切なポイントです。

焦らず、でもあきらめず、
日々の積み重ねを大事にしていきましょう。

 

 

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~本日の投稿の引用文献~

  1. Ellis, T. D., Colón-Semenza, C., DeAngelis, T. R., Thomas, C. A., Saint Hilaire, M. H., Earhart, G. M., & Dibble, L. E. (2021). Evidence for Early and Regular Physical Therapy and Exercise in Parkinson’s Disease. Semin Neurol, 41(2), 189–205.
  2. Wu, T., Liu, J., Zhang, H., Hallett, M., Zheng, Z., & Chan, P. (2015). Attention to Automatic Movements in Parkinson’s Disease: Modified Automatic Mode in the Striatum. Cereb Cortex.
  3. Wu, T., Hallett, M., & Chan, P. (2015). Motor automaticity in Parkinson’s disease. Neurobiol Dis, 82, 226–234.
  4. Xiao, Y., Yang, T., & Shang, H. (2023). The Impact of Motor-Cognitive Dual-Task Training on Physical and Cognitive Functions in Parkinson’s Disease. Brain Sci., 13, 437.
  5. Zikereya, T., Shi, K., & Chen, W. (2023). Goal-directed and habitual control: from circuits and functions to exercise-induced neuroplasticity targets for the treatment of Parkinson’s disease. Front. Neurol., 14:1254447.
  6. Tang, X., Huang, Z., Zhu, G., Liang, H., Sun, H., Zhang, Y., … & Chen, Y. H. (2024). Matching supplementary motor area-primary motor cortex paired transcranial magnetic stimulation improves motor dysfunction in Parkinson’s disease: a single-center, double-blind randomized controlled clinical trial protocol. Front. Aging Neurosci., 16:1422535.
  7. Lee, H., Choi, B. J., & Kang, N. (2024). Non-invasive brain stimulation enhances motor and cognitive performances during dual tasks in patients with Parkinson’s disease: a systematic review and meta-analysis. Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation, 21:205.

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