薬は効いているのに動きにくい…その理由は「薬」だけではありません
2026.08.19 更新
こんにちは。
PDitスタジオ銀座本店 作業療法士の属 です。
「今日は薬を飲んだのに身体が動きにくい…」
そんな日を経験したことはありませんか?
一方で、ご家族から
「今日はいつもより動けているね。」
と言われても、ご本人は
「いや、今日は全然調子が悪い。」
と感じることもあります。
実はこの違いには理由があります。
パーキンソン病の薬はとても重要ですが、身体の動きは薬だけで決まっているわけではありません。
今回は、
「薬が効いているのに動きにくい」と感じる理由
について、研究で分かっていることも交えながら分かりやすくお話しします。
この記事でわかること
✅ 「薬が効いているのに動きにくい」理由
✅ レボドパで改善しやすい症状・改善しにくい症状
✅ 「今日は調子が悪い」と感じる新しい考え方
レボドパは万能ではありません
パーキンソン病治療の中心となるレボドパは、不足したドーパミンを補うことで運動症状を改善します。
しかし、「薬を飲めばすべての症状が改善する」というわけではありません。
研究では、レボドパによって改善しやすい症状と、改善が限定的な症状があることが報告されています。
改善しやすい症状
- 身体の固さ(固縮)
- 動き始めの遅さ(動作緩慢)
- 歩幅
- 歩行速度
一方で、
改善が限定的な症状
- バランス能力
- 姿勢反射
- 疲労感
- 睡眠
- 不安
- 自律神経症状
などは、薬だけでは十分に改善しないこともあります。
つまり、
「薬が効いている=今日は身体が動きやすい」
とは限らないのです。
身体の調子は毎日変わります
例えば、
昨日よく眠れなかった。
仕事が忙しかった。
暑くて水分不足だった。
便秘が続いていた。
このような日は、健康な人でも身体が重く感じます。
パーキンソン病では、その影響をさらに受けやすくなるため、
「今日は薬が効いていない。」
と感じてしまうことがあります。
しかし、
実際には薬が効いていても、それ以上に体調が下がっているだけ
ということも少なくありません。
「良くなっている」のに気づきにくいこともあります
リハビリでは、
患者さんが
「今日は全然ダメ。」
と言われても、
実際には
- 肩の力が抜けている
- 歩幅が広がっている
- 腕がよく振れている
- 動き始めが速くなっている
という変化が見られることがあります。
薬による改善は、
少しずつ起こるため、
毎日自分の身体を使っている本人ほど気づきにくいこともあるのです。
だからこそ、
リハビリで客観的に身体を評価することにも意味があります。

「薬が効いていない」と決める前に
もちろん、本当に薬の調整が必要なこともあります。
しかし、
「今日は薬が効いていない。」
と思った日には、
まず一度、
- 睡眠はどうだったか
- 疲れは溜まっていないか
- 水分は足りているか
- 便秘はないか
- ストレスは増えていないか
なども振り返ってみてください。
身体の調子は、
薬だけではなく、その日のコンディションも大きく影響しています。
まとめ
「今日は薬が効いていない。」
そう感じる日があっても、
必ずしも薬だけが原因とは限りません。
薬で改善する部分と、
睡眠や疲労、ストレス、便秘などの影響を受ける部分。
その両方が重なって、その日の身体の動きは決まっています。
私たちPDitでは、
薬だけを見るのではなく、
「今日は何が身体の動きを邪魔しているのか」
という視点を大切にしています。
その理由を一緒に整理し、その方に合った方法を考えることも、リハビリの大切な役割だと考えています。
次回は、
「睡眠不足や疲れは、なぜ薬が効いているのに動きにくく感じるのか?」
について、研究結果も交えながら詳しくご紹介します。
PDit スタジオ銀座本店
認定作業療法士 属 崇維(サッカ タカヨシ)
参考文献
- Bloem BR, Okun MS, Klein C. Parkinson’s disease. Lancet. 2021;397:2284–2303.
- Armstrong MJ, Okun MS. Diagnosis and Treatment of Parkinson Disease. JAMA. 2020;323(6):548–560.
- Fox SH, Katzenschlager R, Lim SY, et al. International Parkinson and Movement Disorder Society Evidence-Based Medicine Review: Update on Treatments for the Motor Symptoms of Parkinson’s Disease. Mov Disord. 2018.
- Cilia R, et al. Gastric emptying and levodopa response in Parkinson’s disease. Movement Disorders. 2023.
- Schaeffer E, Berg D. Parkinson’s disease subtypes: opportunities for personalized medicine. Nat Rev Neurol. 2021.
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