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パーキンソン病の姿勢異常(横への傾き)に対しての運動療法

姿勢が曲がったら諦める?

パーキンソン病の姿勢異常は服薬調整では良くなりにくいとも言われています。

原因はさまざまですが、しっかりと原因を突き詰めて対処していくことで良くなるケースもあります。

なので、諦めずに出来ることを積み重ねていくことが重要です。

 

写真の方は、2021年3月にスタジオにきました。

 

この時には、かなり右へ曲がってしまっていました。そして、腰に痛みもありやっとの思いでスタジオに来ました。

 

しっかりと運動を続けてもらい、半年後には体はかなりまっすぐになりました。腰痛も良くなり、歩きもかなり良くなっていました。

 

 

 

 

姿勢異常を良くする3つのポイント

 

この方が良くなったのポイントは3つです

 

① 曲がってしまった原因を突き詰められた

② 適切な運動を考えられた

③ 正確に毎日自主トレを実施してもらえた

 

です。

 

① 曲がってしまった原因を突き詰められた

姿勢が曲がってしまう原因は人それぞれです。では、この方の時に私が考えたことを一部ご紹介します。

私がチェックするポイントはいくつかあるのですが、

 

まずは大前提として、横になった時に真っ直ぐになれるか。

 

この時点でまっすぐにならない場合は、骨の変形が考えられるので運動で真っ直ぐにしていくのはなかなか難しいかなと考えています。

 

骨が変形してしまう前に、姿勢を良くしていくことが大切なのでしっかりと予防、もしくは姿勢が曲がり出したらすぐに対応することをお勧めします。

 

 

次に、パーキンソン病は左右のどちらから発症する場合が多くあります。発症側の筋力低下や柔軟性の低下(硬くなりやすい)が見られることが多いので、発症側がどちらなのかをしっかり把握していきます。

 

そして、体の傾きを骨盤の傾きや体重がどちらに偏っているかを確認します。

このかたの場合は、右への傾きが見られ対重心が左へ偏っていました。

 

写真で示した通り、赤いところが筋肉が硬く引っ張られている部位です。青いところが筋肉が弱く踏ん張りが効かない部位です。

 

 

そして、この方は最初の症状が左から出たので左側発症。

左側が発症側なので、左側が原因で傾きが出てしまった可能性が高いと考えました。

 

実際に、歩いてもらうと左の足が床についた瞬間に右への傾きが顕著に現れます。

そして、横に寝てもらって股関節の筋力チェックをすると左側の股関節横の筋肉が明らかに弱くなっていました。

 

ということで、

この方の傾きの原因としては左の股関節横の筋肉(中臀筋)が筋力低下してしまって傾いてきたと考えられます。

 

しかし、右の体の横の筋肉や右の股関節横の筋肉は硬くなっていました。これは、2次的に傾いてしまったことで硬くなってしまったと考えます。

 

もちろん、体の感覚のずれもありまっすぐの感覚もずれていました。なので感覚に対してもアプローチをするべきなのですが、私が感覚へアプローチをするタイミングとしては、鏡を見て意識をすれば体を自ら真っ直ぐに出来るようになる筋力と柔軟性がついてからと考えています。

 

なのでまずは

 

① 右側の硬い部位のストレッチ

② 左側の弱くなってしまった筋肉の筋トレ

 

の2つを優先して行いました。

 

パーソナルトレーニングを通して、運動を実施することと正確な自主トレが自宅でも出来るように自主トレチェックを入念に行います。

 

では、実際にどのような運動を実施して行ったのかご紹介します。

 

実際の運動について

 

① 右側の硬い部位のストレッチ

右の硬い部位に対しては2つのストレッチを行いました。

 

1つ目が体の横の筋肉のストレッチです。横になって行う場合もあれば、座って行う場合もあります。人それぞれ硬さなど状況が違うのでその人にあったレベルのストレッチを選んでいきます。

 

 

2つ目は股関節の横の筋肉のストレッチです。こちらのストレッチも横になって行う場合もあります。

 

※運動写真はPDitオンラインの【005】パーキンソン病基礎運動18項目(実践編)より引用

https://online.pdit.jp/lessons/lesson-005/

 

このように、硬い部位に対してはストレッチを重点的に行っていきます。

 

② 左側の弱くなってしまった筋肉の筋トレ

弱い部位に対しては筋トレを行なっていくんですが、筋トレは代償動作と言って弱い筋肉を鍛えようとすると弱すぎて上手く使うことができなくて、他の筋肉で補おうとする反応が出てしまいます。

 

なので、代償動作が極力でない負荷の運動を選んでいくことが重要になります。

 

今回は、股関節の横の筋肉(中臀筋)に対しての運動を3つご紹介します。難易度が低い順にご紹介しますので、ぜひ簡単な運動から取り組んでみましょう。

 

1つ目は横向きになって、上側の足の踵のみ上げる運動です。膝と膝が離れないように注意しましょう。

この運動は10回程度なら簡単ですが、30回ほど繰り返すと股関節の横の筋肉がズーンって感じで重くなります。

 

2つ目は、仰向けで寝てもらってゴムバンドを足に巻いて足を開く運動です。

これも代償動作が出やすい運動なので注意しましょう。大変だな〜と思う方は10回からチャレンジしてみます。この運動が10回でもきつい方は1つ目の運動をもう少しやってみましょう。

 

 

3つ目の運動は立って足を横へ開きます。重力に少し逆らうような運動なので仰向けで行う運動よりも大変です。こちらもまずは10回から行なってみましょう。

 

※運動写真はPDitオンラインの【075】段階的に負荷を高めるトレーニングお尻横側の筋トレ①

【075】段階的に負荷を高めるトレーニングお尻横側の筋トレ①

このように、弱くなってしまった筋肉に対しては負荷を段階的に強めていくような運動を行っていきます。

姿勢異常の運動は個別性が大事

今回ご紹介したように、姿勢異常の原因は人それぞれです。なので、個々の原因に合わせた運動を行うことが重要です。

 

また、代償動作と言って間違った運動になりがちなので自分自身にあった運動を正しく実施していくことが重要になります。

 

いつから姿勢に対しての運動を開始すれば良いか?

それは、姿勢が倒れてしまう前から予防的に行うことをお勧めします。

 

仮に、傾いてしまったとしたら傾いてすぐに実施していきましょう。

 

傾きを放置してしまうと

・筋肉の繊維化(筋肉組織ではなくなってしまうので筋トレしても筋力を戻すのは難しい)

・関節の拘縮(骨と骨自体が固まってしまうと戻すことは難しい)

が起こる可能性があります。

 

そうすると、いくら運動を実施してもなかなか戻ることは難しいです。

 

傾きがあるにも関わらずご自身ではなかなか気がつかない場合があります。

 

そこに関してはこちらのブログで早めに気がつく方法をご紹介しているのでぜひご覧ください。

パーキンソン病の姿勢異常を早くから気がつく方法

 

早くから気づき、対処したいけど

自分自身に合った運動がわからない!という方は、ぜひ専門家(理学療法士、作業療法士)にご相談ください。

 

お近くにいなければ、PDitスタジオ銀座本店もしくはオンラインパーソナルトレーニングでチェックしますのでお早めにご相談下さい。

 

執筆者

PDit 小川順也(資格:理学療法士、LSVT BIG認定療法士、PD療養指導士)

 

 

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PDitプログラムは診断早期から適切な運動の習慣化と集中性により、パーキンソン病の進行予防を目指したプログラムです。

対面でのトレーニングはPDitスタジオ銀座本店(自費リハビリ)にお越しください。

PDit スタジオ

本日ご紹介した運動が収録されているのはPDitオンラインです。段階的な運動レベルの動画もあります。ご自身に合った運動を選ぶことが重要ですのでぜひ体験してください。

パーキンソン病専門の知識と経験を持った理学療法士のスタッフがパーキンソン病の方へお勧めの運動動画を作りました。さらに東京が遠方の方はオンラインでのリハビリも可能です。

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