パーキンソン病の運動で腹筋トレは姿勢異常の原因!?
2023.11.02 更新
パーキンソン病の運動では腹筋はNG??
パーキンソン病は前傾姿勢になりやすいとも言われています。
私も病院に勤めていた時に、腹筋が硬くなると前傾姿勢になりやすいので、腹筋を鍛えすぎるのは良くない。
というのを良く言っていました。
「腹筋は鍛えてはいけないんだ。腹筋の運動はやめておこう!」
という方は結構いましたし、PDitスタジオに来る方でこの情報をどこかで聞いた方は
腹筋の運動を怖がります。
では、本当に腹筋の運動はNGなのか?という話をしていきます。
腹筋って何?
腹筋は総称になります。
腹筋群とも言われ、4つの筋肉で構成されています。
・腹直筋
・外腹斜筋
・内腹斜筋
・腹横筋
です。
参考:VISIBLE BODY
それぞれの筋肉の役割を簡単にご紹介します。
腹直筋
・体を丸める動きの時に働きます
外腹斜筋
右側と左側にあり、
・体を丸める時には左右両側の筋肉が働く
・体をひねる時には片側の筋肉が働く(ひねりと反対側の外腹斜筋)
・体を横に倒す時のは片側の筋肉が働く
内腹斜筋
右側と左側にあり、
・体を丸める時には左右両側の筋肉が働く
・体をひねる時には片側の筋肉が働く(ひねりと同側の内腹斜筋)
・体を横に倒す時のは片側の筋肉が働く
腹横筋
・腹圧を高めることで体幹の安定性を高める
筋力と柔軟性のバランスが大切
一般的な腹筋の運動はこう言った運動をイメージされますよね。
この運動だと、腹直筋/外腹斜筋/内腹斜筋が鍛えられます。
前傾姿勢を助長してしまう筋肉として考えられるのは
この腹直筋/外腹斜筋/内腹斜筋になります。外腹斜筋/内腹斜筋は肋骨と骨盤斜めについています。
体のひねる動きの時に主に活躍してくれます。また、体をひねるのが硬いな〜という方はこの筋肉が硬くなっている場合が多いです。
筋肉は
・筋力
・柔軟性
の2つの要素があります。
柔軟性が低下してしまうと、引っ張られます。
腹直筋/外腹斜筋/内腹斜筋の柔軟性が低下してしまうと前傾姿勢を助長してしまいます。
腹直筋/外腹斜筋/内腹斜筋の柔軟性が保たれているけれども、背筋や大臀筋といった体を伸ばしてくれる筋肉が弱くなってしまっていると、体をまっすぐに保てずに前傾姿勢になってしまいます。
また、腹圧を高めることで体幹の安定性を高めてくれる腹横筋が弱くなったりうまく使えなくなると、体が前に倒れてしまいやすくなる印象があります。
PDitスタジオで初回パーソナルトレーニングの際に運動習慣についてお聞きするのですが
「ジムで筋トレだけはものすごうやってます!ストレッチは全然やってないです。」
という話をよく効きます。
筋トレばかりしている方は、偏ったバランスになりがちです。腹筋をたくさん鍛えてしまう場合も多いので、そうすると図のように前傾姿勢を助長してしまうバランスになります。
なので、筋力を鍛えつつ、柔軟性を高めていくことが必要になります。
運動はバランスが大事で、筋トレのみ、ストレッチのみではなく、ご自身の状態に合わせてバランス良く運動を選んでいくことが必要です。
腹筋はバランスを考えて運動しよう
前傾姿勢を予防しながら、腹筋をしっかりと鍛えていくことが重要です。
鍛えて欲しい腹筋と柔らかくして欲しい腹筋をご紹介します。
鍛えて欲しい腹筋
腹横筋です。腹横筋の役割を再度ご紹介します。
腹圧を高めることで体幹の安定性を高める
です。パーキンソン病の方はこの腹横筋が弱くなりやすい印象があります。腹横筋が弱くなってしまうと、体幹が安定しなくなり姿勢も保ちにくくなります。また、他の腹筋(腹直筋/外腹斜筋/内腹斜筋)の動きも連動して弱くなってしまう印象です。
腹横筋を鍛える運動は色々ありますが、まずはこちらをご紹介します。
足上げ運動です。注意点は、足を上げている時に背中が床から離れないようにすることです。
参照:パーキンソン病と診断されたら最初に読む運動の本
柔らかくして欲しい腹筋
腹直筋/外腹斜筋/内腹斜筋です。
外腹斜筋/内腹斜筋はひねりのストレッチを行います。
腹直筋は体を伸ばすストレッチを行います。
まずは体をひねるストレッチです。
次に体を伸ばすストレッチです。
ストレッチの持続効果は90-120分程度と言われるので、1日に3回(朝昼晩)行うことをお勧めします。
結局腹筋運動はNGなのか??
説明してきたように、バランスが大事になります。腹筋が硬いまま鍛え続けてしまうとさらに硬くなってしまい前傾姿勢を助長してしまいます。
ストレッチでしっかり伸ばしつつ、腹直筋の筋トレより腹横筋の筋トレを優先して運動に取り組んでいきましょう。
お身体の状態には個人差があるので、自己流ではなく、ご自身の状態に合わせた運動を選び、正しいフォームで運動を継続することが大事です。
自分自身に合う運動を知りたいという方はお気軽にご連絡ください♪
執筆者
PDit 小川順也(資格:理学療法士、LSVT BIG認定療法士、PD療養指導士)
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