在宅医療webセミナー
2024.08.29 更新
みなさんこんにちは。
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設「PDitスタジオ銀座本店」の小川順也です。
今年もありがたいことに多くの講演依頼をいただいております。
パーキンソン病は診断早期から適切な運動を継続することが進行抑制には必須です。
・私たちが大切にしていること
・研究してて分かったこと
・運動で良くなったこと
・世界中の研究で明らかになっていること
をお伝えできる機会は本当に貴重でありがたいです。
2024年8月28日19時〜
株式会社翔薬・クロスログ株式会社・株式会社スズケンの3社が共催となって在宅医療webセミナーを開いていただきました。
そこで、
「リハビリテーションの視点でパーキンソン病の共通言語を作る」
というテーマで講演をさせていただきました。
当日は薬剤師さんが多く、全体で約200名の方が全国から聴講していただけたようです。
私たちはパーキンソン病の方を運動で良くしていこう!ということを中心に行なっていますが、それを軸としてたくさん大事なことがあります。
それは、理学療法士、作業療法士などセラピスト以外の皆さんにとっても大事なことなので
今回はそのことについてお話しさせてもらいました。
このブログではお話しした一部をご紹介したいと思います。
運動は診断早期からスタートすることが必要
パーキンソン病は薬物療法と運動療法の両輪が大事と言われています。
運動療法に関しては、診断初期の段階からスタートすることが重要です。
日本では、ヤールステージ(1~5段階)の3(中等度)からリハビリが始まることが多いと言われています。
ただし、私たちの経験上
3になるとそこから進むのが早いという印象です。
3になると転倒をしやすい状態になるので、ご自身で自主トレをしようと思ってもなかなか難しく習慣になりにくいのです。
なので、診断初期の段階から運動をスタートして習慣化していくことが重要です。
パーキンソン病の原因?
現時点では、難治性の病気と言われているパーキンソン病ですが
どうして症状が出てしまうんだろう?ということは分かっています。
頭の中に異常タンパク質(α-シヌクレイン)が溜まっていき、それが中脳黒質という脳の一部に溜まってしまってドパミンが不足してしまうことで様々な症状が出てきます。
ただ、この異常タンパク質がなぜ溜まってしまうのか?がまだ分かっていません。それが分かると根治療法が確立されることが予想されます。世界中の研究者がこの根本的な原因の研究を進めてくれています。
このドパミンは脳のあらゆるところに影響を及ぼしています。
その一つが運動症状に関わるところです。
ドパミンは運動の調整をになっています。手を動かすときに、どの程度動かせばいいのか、どの速さで動かせばいいのか、それにはどこの筋肉をどれだけ強くして緩めていって〜など調整をしてくれています。
そのドパミンが減ってしまうと、その調整が難しくなってしまいスムーズに動きにくくなってしまいます。
運動症状は氷山の一角と言われていて、運動症状に隠れて非運動症状が多く潜んでいます。
疲労、起立性低血圧、便秘、痛みなど様々な症状があります。
運動症状よりも、非運動症状がQOL(生活の質)の低下に影響を及ぼしているという研究もあります。
これは、パーキンソン病の症状なのか?違うのか?という鑑別は必要なのですが、こういった非運動症状があるということを知っておくことも重要です。
パーキンソン病は2040年までに現在の2倍の患者数になると言われています。日本にも30万人近くいると言われていて、その数が2倍の60万人になるというのです。希少疾患ではなく、みなさんが日々関わる機会が増える疾患になりつつあります。
なので、今のうちにパーキンソン病の知識を増やし経験してパーキンソンパンデミックに備えていくことが必要です。
パーキンソン病の治療方法
パーキンソン病の治療方法として日本で主に行われているのは3つです。
薬物療法、運動療法、手術療法です。
最近では栄養(食事療法)もとても大事と言われています。
この治療法を適切に回していくことがとても重要です。
薬物療法については、このように症状日誌を書いていくことがとても重要です。
先生の診察でうまくご自身の症状が伝えられない!という方も結構多いので、あらかじめこのようにグラフ化しておくととても良いです。
薬の種類もとても多く、様々な利き方があるので、どんな症状がどんな時に辛いのかを的確に先生に伝えることで適切な服薬に繋がります。
次に手術療法です。この手術療法はすべての方が必ず受けるとは限りません。
しかし、こういった選択肢があるんだということを知っておくことはとても大事です。
頭に穴を開けて電極を埋め込む手術や胃に穴をあけてチューブで薬を持続的に流し込む手術など
様々な手術があります。
適応、不適応もありますので、ご自身に合うのか気になる方は主治医の先生に聞いてみてくださいね。
リハビリテーションの考え方
リハビリテーションを進めていく上でとても重要なのは、困っていることが具体的にどんなことが困っているかを知ることです。
例えば、トイレが行きにくいという状態はどんな状態か?
トイレって実はたくさんのことをして行なっています。
今回は立ち上がりが大変でトイレが億劫という方の事例です。
立ち上がりが大変!というのも原因は様々です。
どんなことが実際に課題かを追求してそれに対して対策を講じていくことが重要です。
夜間に特にトイレに行きにく場合は、もしかしたら薬の効果が切れてしまっている可能性があります。その場合は先生と相談して服薬調整することが大事かもしれません。
筋力やバランス能力の問題だったら運動をしていきます。
そもそも立ち上がり方を忘れてしまう(結構あります)ことが原因だったら正しい立ち上がり方の練習をしていきます。
というように、課題に応じて対策を行なっていくことでうまくいくケースも多くあります。
運動の効果
最後に、運動の効果をお話ししました。
この方は、腰が横に曲がってしまう症状が強く出てしまった方です。
しかし、適切に課題から対策(運動)を実施してくことで、姿勢がまっすぐになっていきました。
最初は痛みもあり、歩きもぎこちなかったのですが、姿勢が治っていくと痛みもなくなり、生活も楽になっていきました。
このように、進行性の病気であるパーキンソン病ですが
しっかりと対策を行なっていくことで進行を抑制したり、症状が良くなることもあります。
そんな事例がPDitスタジオでは結構あります。
なので、私たちPDitスタジオではみなさんに良くなる希望を持ってもらいたい!そんな思いで日々のトレーニングを行なっています。
今回は8月28日の講演の一部をブログでご紹介しました。
本記事の執筆者
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ 銀座本店」
小川順也(Junya Ogawa)
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PDitプログラムは診断早期から適切な運動の習慣化と集中性により、パーキンソン病の進行抑制を目指したプログラムです。
対面でのトレーニングはPDitスタジオ銀座本店(自費リハビリ)にお越しください。
本日ご紹介した運動が収録されているのはPDitオンラインです。段階的な運動レベルの動画もあります。ご自身に合った運動を選ぶことが重要ですのでぜひ体験してください。
パーキンソン病専門の知識と経験を持った理学療法士のスタッフがパーキンソン病の方へお勧めの運動動画を作りました。さらに東京が遠方の方はオンラインでのリハビリも可能です。
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