パーキンソン病と歩行の非対称性
2024.08.25 更新
パーキンソン病と歩行:最新の研究が明らかにする変化と課題
こんにちは。パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ銀座本店」の小川順也です。
パーキンソン病(PD)は、体の動きを制御する神経細胞が損傷することで起こる神経疾患です。
震え、硬直、動作緩慢といった症状が特徴的で、歩行にも影響を及ぼすことが知られています。
近年、歩行におけるパーキンソン病の方の身体的変化をより深く理解するために、様々な研究が行われています。
今回はこちらの研究論文をもとにブログを書きました。
2022年に発表された
運動学的パラメータによるパーキンソン病患者の歩行中の下肢非対称性の評価に関する研究
~A Study on Lower Limb Asymmetries in Parkinson’s Disease during Gait Assessed through Kinematic-Derived Parameters~
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35324809/
この研究では、3次元モーションキャプチャーシステムを用いて、パーキンソン病の方の歩行を詳細に分析しました。その結果、パーキンソン病の方の歩行には、健常者と比較して以下のような特徴が見られました。
1. 歩行速度の低下と歩幅の短縮
パーキンソン病の方は、健常者よりも歩行速度が遅く、歩幅が短い傾向があります。これは、筋肉の硬直や動作緩慢が原因と考えられています。
2. 両脚支持期の増加
パーキンソン病の方は、両足が地面に着いている時間(両脚支持期)が長くなる傾向があります。これは、バランスを維持するために、無意識に足を地面につけたままにするためと考えられます。
3. 歩行の非対称性
パーキンソン病の方は、左右の足の動きに非対称性がみられることがわかりました。特に、足首の動きに顕著な非対称性が観察され、これは筋活動の低下や脳の機能的非対称性などが原因と考えられています。
4. 関節の可動域の減少
パーキンソン病の方は、股関節と膝関節の可動域が減少することがわかりました。これは、筋肉の硬直や関節の柔軟性の低下が原因と考えられます。
これらの変化は、パーキンソン病の方の生活の質を大きく低下させる可能性があります。転倒のリスクが高まるだけでなく、外出や運動など、日常生活における様々な活動が困難になる場合があります。
実践できること
この研究を踏まえて、非対称性とは左右で動きの大きさが変わっているということです。診断された時に振るえている側、動きにくい側が発症側とすると、発症側の動きが制限されるケースが多いと感じています。
しかし、ご自身でそれに気がつくことはなかなか難しい現状があります。
ということで今後ご自身で実践できることをご紹介します。
- 定期的に歩行の状態をチェックしましょう。
-歩行の状態をチェックするためには、スマートフォンなどでご自身の歩きを自撮りしてみましょう。三脚を使ってみたり、ご家族に撮ってもらうことをお勧めします。
- 薬物療法を適切に続けることが大切です。
-薬物療法はパーキンソン病の治療にとても重要です。ご自身の症状や困りごとを先生にしっかりと共有することで薬物療法はとても良い治療になります。ご自身で撮った歩きなどもお見せしましょう。
- 理学療法士などの専門家と相談し、歩行を改善するための運動を取り入れましょう。
-歩きの特徴を捉えて、ご自身に合った運動を行うことがパーキンソン病にとってとても重要です。運動はなんでもいいから実施するのではなく、ご自身の状態に合わせた運動を実施することがとても重要です。
- 歩行の変化に不安を感じたら、すぐに主治医に相談してください。
-不安を相談するだけでも気持ちが楽になる方は多いと思います。ぜひ主治医の先生にご相談してみてくださいね。
この研究は、PD患者の歩行に関する重要な知見を提供しました。これらの知見は、パーキンソン病の歩行をよりよく理解し、より効果的な治療法を開発するために役立つと考えられます。
パーキンソン病と歩行に関する研究は、まだ発展途上であり、さらなる研究が必要となります。しかし、これらの研究によって、パーキンソン病の方の歩行を改善するための新たな治療法やリハビリテーション法が開発される可能性があります。
私たちPDitスタジオでも
順天堂大学の松田教授とともにパーキンソン病の歩行の特徴とそのタイプ別分類の研究を進めています。それぞれのタイプに合わせた運動療法の開発を進めて、パーキンソン病進行抑制を目指します。
本記事の執筆者
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ 銀座本店」
小川順也(Junya Ogawa)
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PDitプログラムは診断早期から適切な運動の習慣化と集中性により、パーキンソン病の進行抑制を目指したプログラムです。
対面でのトレーニングはPDitスタジオ銀座本店(自費リハビリ)にお越しください。
本日ご紹介した運動が収録されているのはPDitオンラインです。段階的な運動レベルの動画もあります。ご自身に合った運動を選ぶことが重要ですのでぜひ体験してください。
パーキンソン病専門の知識と経験を持った理学療法士のスタッフがパーキンソン病の方へお勧めの運動動画を作りました。さらに東京が遠方の方はオンラインでのリハビリも可能です。
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