パーキンソン病の新たな治療方法「iPS細胞」アムシュプリ
2026.03.16 更新
みなさんこんにちは。
PDitの小川順也です。
2026年にパーキンソン病のiPS細胞の治療が国に承認されました。
ニュースにもなり、かなり話題となりました。
今回は、このiPS細胞の治療はどういったものなのか、今後はどのような動きがあるのか?を詳しくお伝えしたいと思います。
参考にしたニュースや論文は下記になります。
「iPS細胞由来2製品 7年間の条件及び期限付承認へ 住友ファーマのアムシェプリなど 厚労省部会が了承」
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=79781
「Phase I/II trial of iPS-cell-derived dopaminergic cells for Parkinson’s disease」
https://www.nature.com/articles/s41586-025-08700-0

2026年2月に厚生労働省部会にて住友ファーマの「アムシュプリ」が7年間の「条件及び期限付き承認」として了承されました。脳内の神経細胞を補うiPS細胞製品として、世界に先駆けた実用化への大きな一歩です。
日本は、薬の承認が遅かったり、海外で販売されている薬が日本国内では販売されていなかったりとドラック・ラグやドラック・ロスが課題とありました。今回はそれを補う対策として早く承認を得るために「条件及び期限付き承認」が採用されました。

アムシュプリとは、健康なドナーの血液から作られた「iPS細胞」を使用します。iPS細胞を、ドパミンを作り出す神経の「赤ちゃん(前駆細胞)」に育ててから、患者さんの脳へ移植します。脳内で成長し、失われた神経細胞の代わりとなって働きます。

パーキンソン病は、ドパミン神経細胞が減少し、脳内のドパミンが不足することで起こります。飲み薬はドパミンを外から補いますが、細胞そのものは増えません。アムシュプリは、ドパミンを作り出す細胞そのものを脳内に移植・定着させます。薬の効果が切れる時間(off time)でも、脳内でドパミンが供給される状態を目指しています。
これは、画期的なことだと思います。パーキンソン病の治療薬を長年使用していると、薬が効かない時間も出てくる方がいます。これ以上薬を追加出来ないという方は、この治療法で自らドパミンを作り出すことが出来れば動きにくさもとても良くなりそうです。

2019年から京都大学医学部附属病院による医師主導治験が行われました。今回の承認はその結果を踏まえた承認になります。
その治験では、7名の方が参加して1名は安全性を確かめるために、6名は有効性のを確認するために行われました。
移植後2年間の経過を詳細に観察・評価されました。その結果、最も重要な「安全性」と、期待される「有効性」が確認されました。

安全性は何が確認されたのかを説明します。iPS細胞で懸念されていたのは移植した細胞ががん化してしまうこと。今回はその形成は確認されませんでした。また、拒否反応においても免疫抑制剤の使用によりコントロール可能と報告されています。最後に、重篤な副作用は確認されませんでした。重篤ではないけど、副作用としては手術部位のかゆみや、ジスキネジアの軽度な増加は確認されたとのことです。
治療を進めるにあたって、安全性は大変気になるポイントだと思いますが、今回の7名の方に関しては安全が確認されたようです。

安全性が確認されただけではなくて、今回運動機能も改善されたことが報告されました。
MDS-UPDRS partⅢという運動機能を評価する検査指標において経過を追っています。今回対象になった6名の平均で移植2年後にスコアが9.5ポイント改善されました。また、6名中4名の患者さんで明らかな症状の改善が認められました。スコアが下がることは、症状が軽くなることを意味します。
安全性だけでなく運動機能の改善も見られたことはとても良いことですね。

また、脳内で移植した細胞が生きて働いている証拠も確認されました。移植された細胞が脳内で定着し、実際にドパミンを作り続けていることを示しています。評価した全例で、細胞の定着が確認されたとのことでした。

今回の治験の結果では、60歳以下の比較的若い患者さんや特定の症状タイプの方でより高い効果が得られる傾向がわかりました。今回は6名の方で、症状や年齢のばらつきを見たのだと思います。
比較的高齢の方や、病状が進行している方では、効果が限定的な傾向だったようです。
このデータを元に、次の段階では「最も効果が期待できる方」に対象を絞って検証を行うようです。これは、今回は7年間の条件付きだったので、7年後の再承認のためにしっかりと有効性を出すことが重要なのだと思います。

改めて、条件及び期限付き承認とは?を説明します。有効性が「推定」され、安全性が確認された段階で、早期に実用化するための制度です。承認期間は7年間です。この間に、さらに多くの患者さんでデータを集め、有効性を再確認することが義務付けられています。
これにより、通常の承認を待つ要理も早く、治療の機会がパーキンソン病患者さんへ提供されます。

今後、7年間で35名の検証を計画しているようです。前回の治験で効果が高かった若年層を中心に検証することで、この治療法の真の実力を証明していくようです。
患者さんの内訳は
65歳以下30名、65歳以上5名を予定しているようです。
2026年3月6日の記事では全国7施設で治療を開始していくようです。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20260307-GYO1T00021/

この治療の具体的な流れとして
頭蓋骨に小さな穴をあけ、専門の針で細胞を脳へ移植します。拒絶反応を防ぐため、免疫抑制剤を約1年間服用します。手術後はリハビリテーションを行い、運動機能の回復をサポートしていくようです。
このニュースを見て、スタジオに通われている方にお伝えしたところ、頭に穴を開ける手術はしたくないな〜という方は一定数いるなという印象がありました。出来れば飲み薬のような形に将来的になったらいいですよね。。

効果の実感までは、焦らずじっくりとということも言われています。細胞が育って、脳内でネットワークを作るまでには時間がかかります。治験では移植後12ヶ月〜24ヶ月にかけて徐々に効果が現れたようです。手術直後の劇的な変化を期待するのではなく、長期的な改善を目指す治療とのことです。

今回の承認を要約すると
・安全性として、2019年から開始された治験の結果から確認されました。
・有効性は運動機能の改善と脳内でのドパミン産生が示されました。
・7年間の条件付き承認のもと35名の新たな患者さんと共に治療の確立を目指す。
とのことでした。
iPS細胞だけで本当に良くなるの?
研究論文でも、症状が進んでしまった方に対しては効果は限定的だったということも書かれています。
私が思うに、せっかく良くなる治療を受けれる段階に来たときに、関節が固まりきっていたり、筋肉が弱まりきってしまっては良くなるものもならないと思います。
iPS細胞で全部が解決!というのは考えにくく、人間なので筋肉や柔軟性、体力といったところが運動機能には非常に大切になってきます。iPS細胞の治療を受けたからといってその部分は勝手につくものではありません。
そして、一度落ちてしまった運動機能はなかなか戻すことが難しいのです。
iPS細胞を受けられる時まで、何も対策をしないのではなく
こういった治療法が受けられる時のために、しっかりと運動機能を高めておくことが重要です。
今出来ることをしっかりしよう!
最低限行なって欲しいのは
ストレッチと筋トレと有酸素運動です。
筋肉が固まってくると次は骨が固まります。骨が固まってしまうといくらストレッチをしても柔らかく出来ませんし、骨じゃなくても筋肉が弱くなると筋肉ではなく繊維になってしまいます。そうなるとストレッチしても伸びません。
また、筋肉が弱くなりすぎると前述した繊維になってしまうので筋トレをいくらやっても筋肉はつきません。
これらの状態になるといくら運動してもなかなか体力も上がってきません。
その予防をするために運動が大事なのです。有酸素運動は脳内の神経細胞の保護作用があると言われています。神経がやられてしまう病気なので、それを守る上でも有酸素運動はとても大事です。
治療を待つのではなく、しっかりと今やれることを実践する。そして、継続することが重要です。
後悔して欲しくない
私は2011年からパーキンソン病の方と向き合い続けてきました。
診断初期は自覚的にはあまり運動症状が感じられないので、運動はいいや〜と思いがちです。
少し進んできてから、私のところに来て
「もっと早く運動を始めてればよかった。。。」
と後悔を口にする方を何十人、何百人と関わってきました。
みなさんにはその後悔をして欲しくない!!
その想いです。
ぜひ、今できることを!継続していきましょう!
本日の内容をyoutubeでもお話ししているので動画で見たい!という方はこちらを参照してください!
どんな運動したらいいのかな〜
専門的に体を見てほしい!
と思う方はぜひ私たちを頼ってくださいね♫
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