「筋肉を鍛えるだけでは足りない?」 ~パーキンソン病で大切な『身体のつながり』~
2026.08.08 更新
こんにちは。作業療法士の属です。
パーキンソン病のリハビリというと、
「足腰を鍛えましょう。」
「腹筋を鍛えましょう。」
という言葉を耳にすることがあります。
もちろん、筋力や持久力を維持することはとても大切です。
しかし、私たちが日常生活で行っている動きは、一つの筋肉だけで行われているわけではありません。
立ち上がる。
歩く。
振り向く。
物を持ち上げる。
手を伸ばして物を取る。
こうした動きは、お腹やお尻、足、腕など、全身が協力しながら行っています。
そのため、パーキンソン病のトレーニングでは、「筋肉を鍛えること」と同じくらい、「身体を協調して使うこと」が大切になります。
身体の土台になるのがお腹とお尻です
お腹の筋肉は姿勢を安定させる役割があります。
お尻の筋肉は、歩くためだけではなく、立つ・座る・片足で身体を支えるなど、日常生活のさまざまな場面で働いています。
この土台が安定すると、足は踏ん張りやすくなり、手も動かしやすくなります。
反対に、お腹やお尻がうまく働かないと、身体全体のバランスが崩れ、必要以上に手や足へ負担がかかることがあります。
そのためPDitでは、お腹やお尻の筋力や持久力を高めるだけでなく、それらを使いながら手や足を動かすトレーニングも大切にしています。
筋力だけでは生活動作は変わりません
筋力トレーニングには、筋力や身体機能を改善する効果があることが報告されています。
一方で、日常生活では「腹筋だけ」「お尻だけ」を使う動きはほとんどありません。
立ち上がるときには、お腹・お尻・太もも・足首が協力します。
歩くときには、体幹・骨盤・足だけでなく、腕も自然に振られています。
物を取るときには、手だけではなく、身体全体が姿勢を調整しています。
生活の動きは、複数の関節や筋肉が協調することで成り立っています。
そのため、筋力を高めることに加えて、「身体全体をつなげて使う練習」が重要になります。
早い時期だからこそ身につきやすい
PDitには、比較的早い時期からリハビリに取り組まれている方が多くいらっしゃいます。
早期の段階では、日常生活そのものが大きく崩れていない方も少なくありません。
そのため、生活動作を繰り返し練習することよりも、「身体を効率よく使う方法」を身につけることが、その後の生活につながる場合があります。
例えば、
- お腹を使いながら立ち上がる
- お尻を使いながら歩く
- 体幹を安定させながら手を動かす
こうした身体の使い方を身につけておくことで、普段の生活にも自然と活かしやすくなります。
私たちは、「トレーニングの時間だけ上手に動けること」ではなく、「生活の中で自然に使えること」を大切にしています。
最後に
パーキンソン病のトレーニングは、筋肉を鍛えることだけが目的ではありません。
お腹やお尻を土台として、手や足を協調して動かせるようになること。
そして、その動きを日常生活の中で自然に使えるようになること。
その積み重ねが、「これからも自分らしい生活を続けること」につながると私たちは考えています。
PDitでは、一人ひとりの生活や目標に合わせながら、身体全体をつなげて使うトレーニングを大切にしています。
PDit スタジオ銀座本店
作業療法士 属 崇維(サッカ タカヨシ)
参考文献
- Ernst M, et al. Physical exercise for people with Parkinson’s disease: a systematic review and network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev. 2024.
- Yang X, Wang Z. Effectiveness of Progressive Resistance Training in Parkinson’s Disease: A Systematic Review and Meta-analysis. Eur Neurol. 2023;86:1-13.
- Chung CLH, Thilarajah S, Tan D. Effectiveness of resistance training on muscle strength and physical function in people with Parkinson’s disease: A systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2016;30(1):11-23.
- Pérez-de la Cruz S, et al. Efficacy of Specific Trunk Exercises in the Balance Dysfunction of Patients with Parkinson’s Disease: A Systematic Review and Meta-analysis. Sensors (Basel). 2023;23:2364.
- Perry SIB, et al. The effect of functional-task training on activities of daily living for people with Parkinson’s disease: A systematic review with meta-analysis. Complement Ther Med. 2019;44:238-250.
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