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「正しく動けているつもり」になっていませんか?パーキンソン病の運動で大切な“感覚のズレ”

「正しく動けているつもり」になっていませんか?パーキンソン病の運動で大切な“感覚のズレ”

こんにちは。
PDitの小川順也です。

今日は、パーキンソン病の方の運動について、とても大切な話をしたいと思います。

それは、

「運動している=正しく動けている、とは限らない」

ということです。

「毎日30分散歩しています」

「YouTubeを見ながら毎日運動しています」

「ちゃんと大きく動かしています」

こうしたお話をよく聞きます。

もちろん、運動を継続していること自体は素晴らしいことです。

でも、パーキンソン病の場合、もう一つ確認してほしいことがあります。

それが、

「自分が思っている動き」と「実際の動き」は同じなのか?

ということです。

パーキンソン病には「感覚の問題」もある

パーキンソン病というと、

  • 動きが小さくなる

  • 動きが遅くなる

  • 筋肉がこわばる

  • 震える

  • 歩きにくくなる

といった「運動」の問題がよく知られています。

一方で、以前から感覚機能の変化についても報告されています。

たとえば、

「自分の関節がどのくらい動いているのか」

「どのくらいの速さで動いているのか」

「足の裏のどこに圧がかかっているのか」

「自分の身体がどの位置にあるのか」

といった身体からの情報を正確に捉えにくくなることがあります。

PDitでは、さらに臨床で多くの方を見ている中で、

「筋肉を使っている感覚」

にも注目しています。

特に、

お尻やお腹など、本来使ってほしい筋肉を本人は使っているつもりでも、実際には十分使えていない

という方をよく経験します。

最大の問題は「ズレに自分で気づきにくい」こと

ここが、とても重要です。

たとえば本人は、

「普通に歩いています」

と思っている。

ところが動画を撮って見てもらうと、

  • 歩幅が小さい

  • 歩く速度が遅い

  • 腕が振れていない

  • 身体をひねれていない

  • 前傾姿勢になっている

ということがあります。

そして動画を見て、

「えっ、私こんなに小さく歩いていたんですか?」

と驚かれることがあります。

つまり、

頭の中の自分
「これくらい動いている」

実際の身体
「そこまで動いていない」

というギャップが生まれているわけです。

これをPDitでは、分かりやすく

「感覚のズレ」

と表現しています。

毎日30分歩いていても、確認してほしいこと

実際に、毎日散歩を続けている方がいました。

「私は毎日30分歩いています!」

とおっしゃっていました。

でも実際の歩行を確認すると、

歩幅が小さい。

速度もゆっくり。

腕もあまり振れていない。

体幹のひねりも少ない。

本人は、そのことに気づいていませんでした。

もちろん、30分歩くこと自体に意味がないわけではありません。

ただ、

「30分歩いた」という運動量だけを見てしまうと、運動の“質”を見落としてしまいます。

本来動かしたい関節を十分に動かせていない。

本来使いたい筋肉を使えていない。

そんな状態が続けば、活動量だけではなく、筋力や柔軟性の低下にもつながっていく可能性があります。

「小さな動き」が当たり前になる悪循環

ここで怖いのが、

小さい動きに慣れてしまうこと

です。

動きが小さくなる。

でも本人は「普通」と感じる。

さらに小さな動きを繰り返す。

身体を動かす範囲が狭くなる。

筋力や柔軟性が低下する。

姿勢や歩行がさらに崩れる。

という悪循環につながることがあります。

病気そのものによる運動症状に加えて、活動量低下による廃用が重なってしまうわけです。

だから私は、

「運動していますか?」

だけではなく、

「その運動、本当に思っている通りにできていますか?」

という視点が非常に大切だと思っています。

まずは自分の歩きを「数字」にしてみる

感覚だけでは分かりにくいので、客観的に確認してみましょう。

たとえば、

10m歩いて何歩かかったか

を測ってみる方法があります。

毎回同じ条件で測っておけば、

「以前より歩数が増えていないか?」

「大きく歩こうとすると歩数が変わるか?」

など、自分の変化を確認できます。

大切なのは、単純に「○歩なら正常」と決めつけることではなく、

自分の歩行を数字で見えるようにすること。

そして、

「いつもの歩き方」

「意識して大きく歩いた時」

を比較してみるのもおすすめです。

「速さ」も感覚だけに頼らない

もう一つ確認したいのが、

歩くテンポです。

本人は普通の速度で歩いているつもりでも、実際にはかなりゆっくりになっていることがあります。

そこで活用できるのが、

メトロノーム

です。

一定のリズムを外から提示することで、

「自分が感じている速さ」だけに頼らず運動できます。

ただし、適切なテンポは人によって異なります。

いきなり速いテンポに合わせるのではなく、安全に歩ける速度から少しずつ調整してください。

歩行だけではありません

この問題は、散歩だけではありません。

たとえば、

「両腕を大きく上げましょう!」

という運動。

本人は左右とも同じように上げているつもりでも、

右は大きく動いている。

左は小さい。

片方の肘だけ曲がっている。

身体を傾けて代償している。

ということがあります。

スクワットでも、

「まっすぐ立っているつもり」

なのに片側へ体重が偏っていることがあります。

つまり、

運動メニューが正しくても、やり方がズレている可能性がある。

ここが大切です。

だからスマートフォンで動画を撮ってほしい

そこで、ぜひやってほしいことがあります。

自分の運動をスマートフォンで撮影してください。

たとえば、

  • 普通に歩く

  • 大きく歩く

  • 両腕を上げる

  • 椅子から立つ

  • スクワットする

  • 自主トレをする

などです。

そして動画を見ながら、

左右は同じくらい動いている?

思ったより動きが小さくない?

片側だけ肘や膝が曲がっていない?

身体が傾いていない?

腰など別の場所で代償していない?

と確認してみてください。

鏡を見ながら運動するのも一つの方法ですが、動画なら運動後にゆっくり見返すことができます。

「自分の感覚」だけではなく「外から見た自分」を確認する。

これはとても大切です。

そして「他人の目」を入れる

もう一つ大切なのが、

他の人に見てもらうこと。

です。

パーキンソン病では、自分自身でズレに気づきにくい場合があります。

だからこそ、

家族。

理学療法士・作業療法士。

運動を指導してくれる人。

など、第三者からフィードバックをもらうことが役立ちます。

PDitのグループトレーニングでも、画面越しに皆さんの動きを見ながら、

「もう少し肘を伸ばしてみましょう!」

「右側をもう少し大きく!」

「もう少しテンポを上げてみましょう!」

と声をかけています。

一人で黙々と運動するだけでは気づけなかったことに、他人の目が入ることで気づける場合があります。

「やったか」だけでなく「どうやったか」

運動習慣は、とても大切です。

でも、

30分歩いた。

スクワットを20回やった。

YouTubeを見ながら運動した。

それだけで終わらないでください。

ぜひ、その次に、

「私は本当に思っている通りに動けていたかな?」

と確認してみてください。

パーキンソン病の運動では、

運動量 × 運動の質 × 客観的なフィードバック

この3つを意識することが大切だと私は考えています。

運動を頑張っているからこそ、

その頑張りを、できるだけ良い運動につなげてほしい。

スマートフォンを置いて、自分の歩きを10秒撮影する。

まずはそこからでも構いません。

見てみると、

「あれ?自分が思っていた動きと違うぞ」

という発見があるかもしれません。

その「気づき」が、運動を変える最初の一歩になります。

PDit

小川順也
理学療法士/LSVT BIG認定セラピスト/パーキンソン病療養指導士

 

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