【すくみ足シリーズ②】すくみ足対策として運動って効果的なのか?いつからするべき?
2023.12.19 更新
皆さん、こんにちは。
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ銀座本店」
です!
すくみ足についての記事をシリーズとしてお送りしております。
今回はシリーズ第2!
パーキンソン病の症状として出てくることのある
「すくみ足」に対する運動の効果について、
紹介します!
本シリーズの記事を読むことで、
パーキンソン病の症状の一つ「すくみ足」について理解を深め
適切な対策のためのヒントを知ることができます。
前回の記事をまだご覧になっていない方は
こちらからご確認ください。
【すくみ足シリーズ①】パーキンソン病の方のすくみ足はどういう症状?すくみ足の状態について分かりやすく紹介します!
⇩⇩⇩
https://pdit.jp/staff_blog/3977/
〜 本記事の目次 〜
①すくみ足への運動の効果について!
②すくみ足の生じる原因は多様?
③多様な原因に対する運動の働きって?
①すくみ足への運動の効果について!
以前の記事にも書いてあるように、すくみ足は色々な原因で生じるので
その原因に合わせて、すくみ足にいい運動療法をしていくことが大事です!
研究によれば、
定期的で適切な運動を取り入れることが
「すくみ足」の症状を軽減し、
日常生活を良くするのに効果的であることが示されています。
実際に最近報告された研究論文がこちらです。
「Managing freezing of gait in Parkinson’s disease: a systematic review and network meta-analysis」
(パーキンソン病の方のすくみ足の管理 – 系統的レビュー・メタ分析 -)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35244766/
この研究論文では1990年から2021年12月までの
すくみ足への治療について調べた研究を集め、
結果的に効果があったのか?
ということを解析した内容です!
(このような研究のことをメタ分析といいます!)
厳正な研究の選定の結果、
46の研究が解析に採用されました。
解析結果として、以下のようなことがわかっています。
・平均介入期間は10.3週間。
・全体の運動療法を通して、運動しないグループよりも運動をしたグループの方が、即時的なすくみ足重症度の軽減が確認できた。
・運動内容で見ると以下のものがより効果が高かった。
障害物を避けるトレーニング
トレッドミルを使った歩行練習
運動観察トレーニング
従来の理学療法
※このように見ると、障害物を避けるトレーニングやトレッドミルを使った歩行練習がいいのか!
と思ってしまいますが、データを詳しくみてみると
・障害物を避けるトレーニングの研究 = 研究が1つだけしかない
・トレッドミルを使った歩行練習の研究 = 研究の質が十分でない
などの懸念点もあるために、過大解釈には注意も必要であります。
余談ではありますが、
研究論文の結果を見る際には、このように
結果だけを参照するのではなく、
その研究の内容まで見ることはとても大事です!
(一般の方は難しい部分もあると思いますが、
私達が今回のように研究論文をご紹介する際はその中のデータまで目を通して、
なるべく正しい情報をお届けするようにしています。)
この研究論文から分かるように、
運動療法はすくみ足を軽減させる効果があるということが分かります。
ではなぜ、運動はすくみ足を改善することができるのでしょうか?
これはなぜなら、
運動は体の柔軟性を保ち、
筋力を向上させるだけでなく、
バランス感覚や協調性も向上させるからです。
運動がさまざまな部分に作用するからこそ、
すくみ足の軽減へ効果が出てきやすくなります。
というのも、
すくみ足は色々な原因で生じることが言われています。
②すくみ足の生じる原因は多様?
まず知っておいていただきたいのが、
大脳基底核(だいのうきていかく)
という脳の部分の働きです。
パーキンソン病では、大脳基底核に作用する
黒質という脳の部分からのドーパミンが減少することで
さまざまな症状が生じることがいわれています。
大脳基底核のイメージ(画像引用:看護roo!イラスト)
この大脳基底核は色々な働きがあります。
そのことを説明しているものが以下の画像です!
少し専門的で難しい言葉で書いてあるので、噛み砕いて解説します。
上記画像の赤文字で書いてある部分
「運動回路」
とは、その名の通り、運動に関係する神経のつながりのことです。
そして、緑色で書いてある部分
「認知回路」
とは、考えたり・記憶したり・判断したりという機能である ”認知” に関係する神経のつながりのことです。
そして、青色で書いてある部分
「情動回路」
とは、喜怒哀楽を感じる ”心の部分” に関係する神経のつながりのことです。
これらを見てわかるように、
大脳基底核は運動だけでなく、
他の機能も機能として担っています。
パーキンソン病の方はこの大脳基底核の機能に影響が出てしまうことで、
運動以外の要素も症状として出てくることがあります。
それがすくみ足にも影響が出てしまい
運動の面のみならず、
認知面や心の面がすくみ足に関係してしまいます。
また、シリーズ前回の記事でも書いたように、
すくみ足は色々な場面で生じることがあり、
その主な場面は以下の4つです。
この場面に応じて、
どのようにすくみ足が生じているかをチェックしていく必要があります。
③多様な原因に対する運動の働きって?
このようにすくみ足が生じる原因も確認しながら
運動をしていくことはとても大事なんですね!
運動はお体の運動機能だけでなく、
精神的な側面からも効果があります!
皆さんも運動をしたあとは、後ろ向きだった気持ちも晴れた!
というようなご経験もあるのではないでしょうか❓
専門家とともに運動を行ったり、
時にはグループで運動をすることで、
モチベーションが向上します。
健康なコミュニケーションと共に運動することで、
心身ともにリフレッシュし、
積極的な気持ちを保つことが期待できます👍
このすくみ足に対する運動はなるべく早い段階からしていくことが大切です!
すくみ足に限らずではありますが、
早期の段階で適切な運動療法を行うことは症状の進行を予防する大切な方法となります。
適度な運動療法は、筋力を向上し、バランス感覚を改善するのに役立ちます。
すくみ足は色々な原因で生じてしまうことが明らかになっています。
その原因に合わせて、すくみ足にいい運動療法をしていくことが大事です!
まだ自分には早いかな?と思うくらいが丁度いいタイミングかもしれません。
ご自分の判断だけでなく、
ぜひ専門家にみてもらいアドバイスを受けてみてくださいね!!
次の記事では、今回紹介していった
すくみ足の原因や運動療法の効果をより深掘りしていき、
どのように実践していけばいいか解説していきます!
今回のまとめ
◉すくみ足に運動が効果的であることが海外の研究でも明らかになってきている。
◉すくみ足は、運動の面だけでなく、認知面や心の状態からも影響が出てしまう。
◉すくみ足に対する運動は、さまざまな面でいい影響がある。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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本記事の執筆者
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ 銀座本店」
山口祐弥(Yuya Yamaguchi)
【資格】
理学療法士、LSVT-BIG認定療法士、神経筋障害認定理学療法士、保健学修士
【経歴】
理学療法士免許取得後、総合病院に勤務。パーキンソン病をはじめとする神経難病の方や脳卒中の方とのリハビリを多く経験する。
理学療法士の臨床業務の傍ら、研究を行い、理学療法士学会で受賞を経験する。
臨床6年目の時に大学院入学、研究を重ねその後に修士号を取得。
その後、株式会社Smile Spaceに入社し、パーキンソン病の方と一緒に日々トレーニングにはげんでいる。
【趣味】
バスケットボール、アウトドア
【一言コメント】
お一人お一人との丁寧な対話を大切にしています。
長年の経験に科学的視点も加味して、皆さんの生活がより良くなるようにサポートします!