パーキンソン病の姿勢異常(前への傾き)に対しての運動療法
2023.12.23 更新
パーキンソン病の姿勢異常
パーキンソン病の姿勢異常は
・体幹前傾/前屈姿勢 stooped and bent posture
・体幹屈曲(腰曲がり) camptocormia
・斜め徴候 Pisa syndrome
・首下がり dropped head syndrome
・頚部前屈症 antecollis
があるとされています。
詳しくは以前書いたブログを参照下さい。
今回はその中でも、前への傾きに関しての実際の運動についてご紹介したいと思います。
体幹前傾/前屈姿勢 stooped and bent posture
体幹屈曲(腰曲がり) camptocormiaという姿勢異常があります。
腰曲がりはかなり前傾/前屈が進んでしまった場合になることが多く、腰曲がり予防をしていくことはとても重要になります。
体幹前傾/前屈姿勢のちょっと姿勢が傾いてしまっているな?という状態から早めに対応すること。
さらには、その前から前傾/前屈姿勢の予防をすることが重要になります。
上記のブログでは、パーキンソン病のリハビリテーションの開始時期を書いてあります。日本の現状としては、ヤール3以上で最もリハビリテーションの開始が多いと言われています。
ヤール3は明らかな運動障害(歩行、姿勢、転倒等)がある状態です。この状態からリハビリテーションを始めると、自主トレを定着することがなかなか難しくなります。
まだ、動けるし、自主トレを自己流でやっているから大丈夫!と思っている方も多いと思います。
実際にそのような方がPDitスタジオに来て実際に体の動きや姿勢や運動を見せてもらうと、ご自身では気が付かなかった症状がある場合がほとんどです。
自己流や自身の判断で「動けている」ではなく、専門家にしっかりと判断してもらうことをお勧めしています。
体幹前傾/前屈姿勢は写真のような状態です。
胸から前傾になって、膝が曲がっている姿勢が多いですね。
実際にご自身で気がつくのはなかなか難しいので、鏡を見るかスマートフォンで撮影して確認してみましょう。
こういった姿勢になるとどの筋肉が硬くなりやすく、弱くなりやすいか。
まずは、硬くなりやすい筋肉を紹介します。
硬くなりやすい筋肉
写真のような姿勢になると
・膝裏の筋肉(ハムストリングス)
・股関節の前の筋肉(腸腰筋)
・胸の前の筋肉(大胸筋、腹直筋)
・体を捻る筋肉(外/内腹斜筋)
が主に硬くなります。この筋肉が硬くなるとさらに
体幹前傾/前屈姿勢は進んでしまいます。
予防のためにはこれらの筋肉を日々ストレッチしておくことが重要です。
また、すでにこの姿勢になった方はさらに多くストレッチをしていくことが必要ですし、セルフストレッチでは伸ばすことが難しくなった方は、専門家にしっかりとストレッチしてもらうことが必要になります。
弱くなりやすい筋肉
写真のような姿勢になると
弱くなりやすい筋肉は下記の筋です。
・お尻の筋肉(大臀筋)
・背中の筋肉(背筋)
・膝の前の筋肉(大腿四頭筋)
です。
最初に弱くなってしまう筋肉は、お尻の筋肉の場合が多い印象があります。お尻の筋肉は、股関節だけではなく背中もぐいっと姿勢を伸ばしてくれる役割があります。
弱くなりやすい筋肉がわかっているので、予防のためには筋トレをしていくことをお勧めしています。すでにこの姿勢になってしまっている方はさらに筋トレを多くしていくことが必要です。
筋力は最初の1ヶ月は神経が繋がって強くなっている感じがしますが、実際に筋力(筋肉が増える)がますのは筋トレをしっかり行って3ヶ月かかると言われています。
落ちるのは簡単ですが、戻すのはなかなか時間かかりますよね。
体幹前傾/前屈姿勢予防の運動を紹介
今回は、体幹前傾/前屈姿勢の予防のための運動を紹介します。
大きく3つご紹介します。
1つ目は歩き方です。これはPDメリハリウォーキングで説明しているのでそちらのブログをご参照ください。
歩き方が変わるだけでも、かなり姿勢も良くなるし鍛えたい筋肉も鍛えられます。逆に、筋トレやストレッチだけして満足していても日々の歩きを意識しないと、筋力が弱くなりやすいし、硬くなりやすいので歩き方へも意識をしっかりと向けてください。
体幹前傾/前屈姿勢の予防のためのストレッチ
PDitオンラインに収録されている前傾姿勢を予防する(ストレッチ編)
からストレッチを紹介します。
硬くなる筋肉は下記の筋肉でしたね。
・膝裏の筋肉(ハムストリングス)
・股関節の前の筋肉(腸腰筋)
・胸の前の筋肉(大胸筋、腹直筋)
・体を捻る筋肉(外/内腹斜筋)
今回は、
・胸の前の筋肉(大胸筋、腹直筋)
のストレッチについてお伝えしていきます。
この筋肉をストレッチするためには、背中にヨガマットを丸めたものや枕を置いてバンザイしていきましょう。そうすると胸の前、お腹がしっかりと伸ばされます。
ストレッチは約30秒持続的に行うことが大事です。
1日3回に分けて実施するとより効果的に伸ばすことができますよ。
ストレッチは根気が必要なので、
体幹前傾/前屈姿勢が気になる方は、しっかりと伸ばしていきましょう。
体幹前傾/前屈姿勢の予防のためのストレッチ
PDitオンラインに収録されている前傾姿勢を予防する【筋トレ編】
から筋トレをご紹介します。
弱くなりやすい筋肉は下記の筋でしたね。
・お尻の筋肉(大臀筋)
・背中の筋肉(背筋)
・膝の前の筋肉(大腿四頭筋)
この中で今回は
・お尻の筋肉(大臀筋)
の筋トレをご紹介します。
写真のように、膝をしっかりと曲げて踵でお尻を上げていきます。
筋トレは、回数が大事です。10回程度だとそこまで筋力はつかないので30回はやってみましょう。
筋力はしっかりとついてくるのに3ヶ月かかると言われているので、少し大変ですが毎日コツコツ実施していくことが重要です。
このお尻の筋トレが難しい方もいると思います。筋トレはご自身のレベルに合った運動を選ぶこともとても重要になります。
体幹前傾/前屈姿勢の最大の予防は自身にあった運動を継続すること
今回ご紹介したように、弱くなりやすい筋肉や硬くなりやすい筋肉はあります。
しかし、人によってどこがどれだけ硬いか、弱いかは違います。
予防、改善を目指す上ではご自身に合った運動を選んでしっかりと継続することが必要です。
そのヒントはPDitオンラインにも載っているのでご自身で選んでみたい!という方はお試しください。
自分ではなかなか選べない!しっかりと専門家に見てもらいたい!という方は
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設のPDitスタジオ銀座本店にお越しください。
本記事の執筆者
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ 銀座本店」
小川順也(Junya Ogawa)