進行抑制には有酸素運動?
2024.09.23 更新
こんにちは。パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ銀座本店」の小川順也です。
このブログでは、論文をもとにパーキンソン病の方に役立つ情報をお届けしています。
今回の論文は
Current Perspectives on Aerobic Exercise in People with Parkinson’s Disease
-パーキンソン病患者における有酸素運動に関する現在の見解-
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7851311/
です。
パーキンソン病における有酸素運動
パーキンソン病は、動作が遅くなったり、歩きにくくなったり、震えたり、筋肉が硬くなるといった運動症状が主にあります。
そして疲労感、認知機能の低下、うつ病、無気力といった非運動症状を特徴とする進行性の神経変性疾患です。
パーキンソン病に対する根本的な治療法はまだ見つかっておらず、
現在の治療は主に症状を和らげるための薬物療法や脳深部刺激療法といった対症療法が中心です。
しかし、薬の効果は時間の経過とともに薄れてしまい、副作用のリスクも伴います。
そこで、パーキンソン病の症状を改善し、生活の質を高めるために、薬物療法以外の治療法として運動療法が注目されています。
特に、有酸素運動は、心拍数を上げてカロリー消費を促し、体力の維持・向上を目的とした運動で、パーキンソン病に有効である可能性が示唆されています。
有酸素運動の効果
一般的な健康効果:有酸素運動は、心血管疾患や心血管死亡のリスク低下、代謝の改善、骨の健康の改善、骨折リスクの低下など、パーキンソン病の方を含め、ほとんどすべての人にとって健康に良い影響を与えます。
パーキンソン病の症状に対する効果
↓↓
運動機能:多くの研究で、有酸素運動はパーキンソン病の運動機能を改善する可能性が示唆されています。バランス能力、歩行能力、運動能力の向上などが期待できます。
非運動機能:有酸素運動は、うつ病や認知機能の改善にも効果がある可能性があります。
生活の質:運動機能や非運動機能の改善により、生活の質の向上も期待できます。
有酸素運動の種類
ウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳など、様々な有酸素運動があります。ご自身の体力や好みに合わせて無理なく行える運動を選びましょう。
注意点
・運動を開始する前に、必ず医師に相談し、運動の種類や強度について指導を受けてください。
・運動中は、体調の変化に注意し、無理のない範囲で行いましょう。
・運動の効果を高めるためには、継続することが重要です。
有酸素運動は、パーキンソン病の症状を改善し、生活の質を高めるために有効な手段となりえます。医師や理学療法士など専門職と相談しながら、積極的に運動を取り入れていきましょう。
パーキンソン病の予防と有酸素運動の効果に関する研究結果の概要
この論文では、パーキンソン病における有酸素運動の効果について、過去の研究をまとめ、その結果を考察しています。
パーキンソン病の予防
・疫学研究によると、身体活動が多い人ほどパーキンソン病のリスクが低い可能性が示唆されています。
・この論文では運動がパーキンソン病の発症自体を遅らせることができるのか、あるいは症状の出現を遅らせるだけなのかは、まだ解明されていません。別の研究論文では中等度以上の有酸素運動を継続することで服薬量の抑制と身体機能の維持がみられたという報告もあります。
パーキンソン病の症状に対する有酸素運動の効果
身体機能:有酸素運動は、パーキンソン病患者の体力向上に効果があることが多くの研究で示されています。
運動機能:有酸素運動は、パーキンソン病の運動症状(動作の遅さ、歩行障害、バランス障害など)の改善に効果がある可能性があります。
非運動機能:
うつ病や無気力:有酸素運動がうつ病の症状を改善する可能性を示唆する研究もありますが、さらなる研究が必要です。
健康関連の生活の質:観察研究では、定期的な運動は健康関連の生活の質の低下を抑制する可能性が示唆されています。
結論と今後の展望
・有酸素運動は、パーキンソン病患者の体力向上や運動症状の改善に効果がある可能性があります。しかし、非運動症状については、さらなる研究が必要です。
・パーキンソン病患者にとって最適な運動の種類、強度、頻度を明らかにする必要があります。
・長期的な効果と継続率を調べるための、より大規模で長期間の追跡調査が必要です。
・運動の神経変性プロセスへの影響を調査する必要があります。
・日常生活における運動能力をより客観的に測定する方法を開発する必要があります。
・遠隔地や過疎地でも実施可能な運動プログラムを開発する必要があります。
ということが書かれていました。
特に結論と今後の展望のところで私たちPDitスタジオの見解をお伝えします。
最適な運動の種類、強度、頻度を明らかにする
生活している動きは有酸素運動にカテゴライズされます。
有酸素運動のレベルはしっかりとした分析機器で計測する場合と、疲労度で簡便に推測する場合があります。
軽度〜中等度〜高強度
までレベルが分かれています。パーキンソン病の進行抑制に良いとされる負荷量は中等度以上という研究が非常に多いのです。
私たちPDitスタジオでも、軽度の運動負荷量よりも中等度以上の運動強度での有酸素運動を実施した方が体力の向上にも良いですし
実施後の全身の動きのスムーズさにも影響があるなと感じています。
さらに経験や研究を重ねていきます。
長期的な効果と継続率
中等度以上の有酸素運動は結構大変で、継続することはとても重要です。
集中的な運動負荷を実施して、ぐっと身体機能が良くなっても
その後の継続性がなくなってしまうと、身体機能がもとに戻ってしまうという研究報告もあります。
PDitスタジオに来ている方でも、スタジオのトレーニング以外でもしっかりと運動を取り組んでいる方は身体機能が維持されていると感じています。
無理なく続けられる仕組みや、運動プログラムの考案はとても重要と考えています。
日常生活における運動能力をより客観的に測定する方法を開発
スタジオでの身体機能の計測もとても大事ですが、実際に実生活でどのように過ごせているかを客観的に数値化することはとても重要です。
私たちPDitスタジオでは、某企業と共同でパーキンソン病の方のための日常の歩行を可視化する取り組みを実施しています。
ゆくゆく発表が出来るのでお楽しみにしてくださいね。
遠隔地や過疎地でも実施可能な運動プログラムを開発
PDitスタジオに来られる方や比較的社会的な資源が整っている都心部では
しっかりとケアが出来る方も多いと思います。
しかし、過疎地域や北海道など雪がすごく降ってしまってその期間は外出がきない場合や
最近は都心部でも夏は暑く外出を控える方も多いと思います。
そんな中でも実施可能な運動プログラムの開発は急務です。
PDitでは、オンライントレーニングの利用している方も非常に多い状況です。
オンラインはzoomなどのテレビ電話システムを活用して1対1でのパーソナルトレーニングや複数人でのグループトレーニングを実施しています。
3ヶ月間の集中的な運動プログラムである「PDitプログラム」もオンラインで受けることが可能で
このPDitプログラムで歩きや姿勢が良くなったという方も多いです。
今後の展望
今回の論文では、有酸素運動はパーキンソン病の方にとってとても大事という内容でした。
やはり、継続性や遠隔地での実施については世界中で課題感があるんだなと思います。
あらゆる手段を用いて、パーキンソン病の方にとってより効果的で持続性のある運動プログラムを
私たちPDitでは作り続けていきます。
本記事の執筆者
パーキンソン病専門の自費リハビリ施設
「PDitスタジオ 銀座本店」
小川順也(Junya Ogawa)
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PDitプログラムは診断早期から適切な運動の習慣化と集中性により、パーキンソン病の進行抑制を目指したプログラムです。
対面でのトレーニングはPDitスタジオ銀座本店(自費リハビリ)にお越しください。
本日ご紹介した運動が収録されているのはPDitオンラインです。段階的な運動レベルの動画もあります。ご自身に合った運動を選ぶことが重要ですのでぜひ体験してください。
パーキンソン病専門の知識と経験を持った理学療法士のスタッフがパーキンソン病の方へお勧めの運動動画を作りました。さらに東京が遠方の方はオンラインでのリハビリも可能です。
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